月曜夜の号をお届けします。最大のニュースは、スイスで断続的に続いていた米イランの第1回ハイレベル協議が日本時間22日未明に終了し、両国が今後60日以内の最終合意を目指す「ロードマップ」で一致したことです。国際原子力機関(IAEA)の査察官受け入れやホルムズ海峡の偶発衝突回避ホットライン設置など、中東情勢の正常化に向けた具体策が並びました。市場では、この後の日本時間今夜に約4日ぶりに再開する米国市場の値動きが焦点となります。和平進展とAI需要を支えに堅調だった先物は、再開直前には方向感の乏しい展開となっています。アジア時間には日経平均が再び史上最高値を更新し、金は反発、原油は供給正常化観測で落ち着いた値動きとなりました。本号は新たな動きを中心に5本でお伝えします。
米イラン、60日以内の最終合意へ「ロードマップ」で一致 — IAEA査察再開、ホルムズに衝突回避ライン
米国とイランの第1回ハイレベル協議が、日本時間22日未明にスイスで終了しました。仲介国などによると、両国は今後60日以内に最終合意へ至るための「ロードマップ」で一致し、政治的な監督権限を持つ「ハイレベル委員会」を設置して、核問題・制裁・紛争解決を扱う技術協議を直ちに開始することで合意しました。あわせて、ホルムズ海峡での偶発的な衝突を避けるための連絡ライン(デコンフリクション・ライン)も設けられます。バンス米副大統領は、イランがIAEA(国際原子力機関)の査察官受け入れに同意したと明らかにし、査察は早ければ今週中にも再開する見通しだと述べました。イランのアラグチ外相は、自国産原油への制裁が免除され、海外で凍結されていた資産の一部が解放されたと説明しています。イラン側報道は、60日間の協議期間中に約240億ドルの凍結資産が解放される趣旨の覚書草案の存在に言及しました。ガリバフ国会議長率いるイラン代表団は約18時間に及ぶ集中協議を経て会場を後にしており、技術協議は今週いっぱい続く見込みです。ただしこれは最終的な和平合意ではなく初期的な枠組みであり、トランプ大統領がレバノン情勢を巡り再攻撃を警告するなど、履行の持続性には不透明感も残ります。
出典: NPR / Axios / Times of Israel
米国市場、今夜に約4日ぶり再開 — 先物は小動き、和平進展とAI需要・PCEに視線
米国の株式市場は、19日のジューンティーンス(奴隷解放記念日)休場と週末を挟み、日本時間の今夜に約4日ぶりに取引を再開します。再開を前に、株価指数先物は方向感に乏しい展開です。S&P500種株価指数の先物は約0.1%安、ダウ工業株30種平均の先物はほぼ横ばい、ナスダック100の先物もわずかな値動きにとどまっており、市場は様子見の構えです。休場前の18日終値はS&P500が前日比約1.08%高の7,500.58と最高値圏でした。投資家は、未明にまとまった米イランの和平ロードマップという前向きな材料と、AI(人工知能)関連の旺盛な需要を支えとしつつも、今週後半に控える重要イベントを見極めようとしています。最大の焦点は、25日(木)に発表される5月のPCE(個人消費支出)物価指数です。エネルギー高を背景にインフレの高止まりが見込まれ、ウォーシュ新FRB(連邦準備理事会)議長のタカ派姿勢と相まって、上振れすればドル高・米金利上昇に拍車がかかる可能性があります。23日(火)のフェデックス、24日(水)のマイクロン・テクノロジーの決算も、世界の物流量とAI半導体需要を測る手掛かりとして注目されます。
出典: Yahoo Finance / CNN Markets
日経平均が再び史上最高値、取引時間中に一時7万2,584円 — AI・半導体物色が継続
22日(月)の東京株式市場で、日経平均株価は取引時間中に一時7万2,584円と、史上最高値を再び更新しました。前週末(19日)終値の7万1,250円から一段と水準を切り上げた形です。AI(人工知能)向け需要の拡大を背景とした半導体関連株への物色と、海外投資家による日本株買いが相場を押し上げる構図が続いています。米イランの和平協議が前進したとの報も、地政学リスクの後退期待として追い風となりました。一方、外国為替市場では円が1ドル=161円台半ばと約40年ぶりの安値圏にとどまっています。片山さつき財務相は過度な変動には「いつでも適切な対応を取る用意がある」と改めてけん制しましたが、度重なる口先介入も円安の流れを止められていません。円は4月末の過去最大規模の介入で得た上昇分をすべて吐き出した格好で、日米の金利差を背景としたキャリー取引が円売り圧力を支えています。輸出採算の改善期待は株高の一因ですが、物価高を通じた家計負担という側面も併せ持ちます。
出典: Trading Economics / Trading Economics(円相場)
金が反発、1トロイオンス4,186ドル — タカ派FRBによる下落から押し目買い
下落基調が続いていた金(ゴールド)相場が反発しました。22日の金価格は1トロイオンス=約4,186ドルと、前日比で約45ドル(約1.1%)上昇しました。先週は、ウォーシュ新FRB議長のタカ派姿勢を受けた米長期金利の上昇とドル高が、利息を生まない金の重しとなり、約4,150ドル前後まで水準を切り下げていました。今回の反発は、急ピッチで進んだ調整に対する押し目買いが入ったものとみられます。FRBが年内の利上げを示唆し、19人の政策担当者のうち9人が年内に少なくとも1回の利上げを見込むなど、金融政策の引き締め方向が金の上値を抑える基本構図に変わりはありません。もっとも、各国中央銀行による継続的な金購入や、世界的な財政の不確実性は、中長期的に金価格を下支えする要因として意識されています。当面の値動きは、地政学の見出しよりも、米金利とドルの動向というファンダメンタルズに主導される展開が続きそうです。
出典: Trading Economics / 150currency
原油は供給正常化観測で落ち着く — 和平ロードマップとホルムズの連絡ライン設置で
原油相場は、ホルムズ海峡を巡る供給混乱の収束観測を背景に、落ち着いた値動きとなっています。前週末時点で国際指標の北海ブレント原油は1バレル=約80ドル、米WTI原油は約77ドル台で、週間ではともに約8.5%下落し、一時120ドルを超えた高値からは大きく水準を切り下げました。22日未明にまとまった米イランの和平ロードマップで、ホルムズ海峡に偶発衝突を避けるための連絡ラインを設けることが盛り込まれ、海上封鎖の解除とあわせて海運環境の正常化観測が一段と広がっています。市場では「最悪期は過ぎた」との見方が優勢です。ただ、これまでイラン側は通航船舶への保険加入義務化に言及するなど海峡への影響力を誇示してきた経緯があり、機雷除去や保険・運航体制の本格回復には数週間から数カ月を要するとの慎重論も残ります。原油安はエネルギー関連株の重荷となる半面、世界的なインフレ圧力をやわらげる方向に働き、消費国の経済には恩恵をもたらします。
出典: CNBC / Trading Economics