経済ニュースダイジェスト

2026/06/08(月)12:00 JST  |  号ID: 2026-06-08-1200

こんにちは。週明けのアジア市場は、先週末の米半導体株急落(フィラデルフィア半導体指数=SOXが1週間で約10%安)と強い米5月雇用統計(非農業部門就業者数+17.2万人)を受けた利上げ警戒、そして中東情勢の再悪化が重なり、全面的なリスクオフとなりました。日経平均は前場に一時3,100円超下落、韓国KOSPIは8%超下げてサーキットブレーカーが発動。原油は中東のエスカレートで続伸し、ドル円は160円台で介入警戒が続いています。本号は、いま起きている市場の動きを中心に5本立てでお伝えします。

日経平均が前場に一時3,100円超安、6万4,000円割れ — AI・半導体株が総崩れ

東京株式市場は週明けから急落しました。日経平均株価は8日午前、一時前週末比3,100円を超える下げとなり、節目の6万4,000円を割り込みました。前場は6万3,963円(前週末比約2,624円安、率にしておよそ3.9%安)近辺で推移しています。先週末の米国市場でハイテク株が大きく崩れ、ナスダック総合が4.2%安と2025年4月以来の急落となった流れを引き継いだものです。強い5月雇用統計で米長期金利が上昇し、年内利上げ観測が強まったことが、高バリュエーションのAI・半導体関連への売りに直結しました。個別では、ソフトバンクグループが一時約11%安、キオクシアホールディングスが一時約12%安となるなど、値がさのAI・半導体関連が「一人負け」の様相です。一方で、相対的なディフェンシブ性が意識される金融や内需関連には押し目買いも入り、市場内ではセクター間の資金移動(ローテーション)の動きもみられます。市場では、半導体一極集中で積み上がった持ち高の巻き戻しがどこまで進むかが当面の焦点との声が出ています。

韓国KOSPIが8%超急落しサーキットブレーカー発動 — サムスン・SKハイニックスが二桁下落

半導体ショックは韓国でより激烈な形で表れました。韓国総合株価指数(KOSPI)は8日の取引開始直後に8%を超えて急落し、前週末終値(8,160.59)から約685ポイント安の7,477前後(一時▲8.4%)まで水準を切り下げました。下げが基準に達したため、韓国取引所はサーキットブレーカー(20分間の売買一時中断)を発動しました。指数構成比の大きいサムスン電子とSKハイニックスがそろって一時約10%安となり、相場全体を押し下げました。サムスン電子は29万8,500ウォン(▲9.27%)と心理的節目の30万ウォンを割り込み、SKハイニックスは190万4,000ウォン(▲8.02%)と200万ウォンを下回りました。下落の背景は、米雇用統計を受けた利上げ警戒に加え、ブロードコムのAI半導体見通しが市場予想に届かなかったこと、そしてKOSPIが半導体株に極端に偏った構成であることが下げを増幅した点です。主体別では海外投資家の売りが目立ち、メインボードで3,421億ウォンの売り越しと伝えられます。半導体への依存度が高い日本・韓国・台湾はグローバルなリスク回避局面で構造的に下げやすく、今回もその脆さが露呈した形です。

イスラエルがイラン本土を空爆、原油続伸 — 停戦崩壊リスクが再燃

中東情勢は一段とエスカレートしました。イスラエル軍は現地時間8日、イラン西部・中部の軍事目標を空爆したと発表しました。これに先立ち、停戦発効後では初めてとなるイランのミサイルがイスラエルに着弾し、トランプ米大統領が報告を受けたとホワイトハウスが認めています。4月以来続いてきた停戦の枠組みが、双方の直接攻撃の応酬で崩れかねない情勢です。供給不安の高まりを受けて原油は続伸し、北海ブレント原油(7月限)は1バレル96.05ドル(前日比+3.18%)、米WTI(8月限)は93.67ドル(+3.46%)まで上昇しました。OPECプラスが7月から日量18.8万バレルの増産で合意したばかりですが、ホルムズ海峡の混乱以降では4度目の増産承認となるなかでも、地政学リスクが価格の下支え要因として強く意識されています。エネルギー価格の上昇はインフレ高止まり観測を通じて主要中銀の利下げ余地を狭めるため、株式市場のリスク回避とも結びついています。

ドル円は160円台で推移、リスクオフでも円安・介入警戒続く

通常、株安・リスク回避局面では安全通貨とされる円が買われやすいものですが、足元ではその構図が働きにくくなっています。ドル円は8日も約21カ月ぶりに乗せた160円近辺で推移しています。中東情勢の緊迫で「有事のドル買い」が優勢となり、円の逃避需要を上回っているためです。政府・日銀は4月末以降に累計11兆円超の円買い介入を実施しましたが、相場は介入前の水準にほぼ戻しており、市場では「介入警戒がかえって短期筋の円売りを誘い、160円再突入を促した」との皮肉な見方も出ています。今週は11日のECB理事会、16〜17日の日銀金融政策決定会合(追加利上げ観測)、18日の英中銀と主要中銀の会合が相次ぎ、当局の介入有無とあわせて上値の重しとして意識されます。

米株先物も軟調、今週はCPI(10日)・PPI(11日)が最大の試金石

アジアの全面安を受けて米国株の先物も上値が重く、ダウ先物は5万1,665ドルで寄り付いた後に5万0,936ドル近辺へ水準を切り下げる場面がありました。先週末は強い5月雇用統計で米10年債利回りが4.5%を上回り、30年債は5%を超えており、金利上昇は年初来の上昇をけん引してきたAI・半導体など高バリュエーション銘柄の逆風となります。市場の最大の関心は10日(水)の米5月消費者物価指数(CPI)と11日(木)の卸売物価指数(PPI)です。インフレの高止まりが確認されれば利上げ観測が強まり、株安・金利高・円安の流れが加速しかねません。逆に予想を下回れば、過度な利上げ警戒の巻き戻しから反発のきっかけになり得ます。安全資産とされる金も米金利・ドル高に押され、地政学リスクの高まりにもかかわらず上値の重い展開です。当面はボラティリティの高い地合いが続くとみておくのが無難でしょう。

過去号