こんにちは。本号は、4日の東京市場の大引けと、同日夜に始まった米国市場の序盤の動きを中心にお伝えします。最高値圏で過熱感が意識されるなか、半導体・サイバーセキュリティ大手の決算を起点とした調整が東京・ニューヨークの両市場で続いています。一方、OECDが中東情勢を理由に世界成長見通しを下方修正し、翌5日には注目の米雇用統計が控えるなど、マクロ環境の節目が重なる局面です。本号では、(1)東京市場の大引けと円相場、(2)日本国債利回りの上昇、(3)米株の序盤とクラウドストライク安、(4)OECDの成長見通し下方修正、(5)5日の米雇用統計プレビュー、(6)原油の反落とOPECプラス会合、の6本を取り上げます。
東京市場、大引けは1.36%安の67,470円 — ソフトバンクGが約11%安で指数を主導、円は159円後半で再介入を警戒
4日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反落し、前日比931円安(約1.36%安)の67,470円で取引を終えました。前日に史上初の68,000円台へ乗せた直後の利益確定売りに、前日の米国株安と中東情勢の緊迫が重なった格好です。下落をほぼ一手に主導したのがソフトバンクグループで、株価は約11%安と急落し、指数の下げ幅の大半を説明する展開となりました。一方で東京エレクトロンが約4.5%高となるなど、半導体関連の中でも明暗が分かれ、物色の偏りが目立ちました。為替市場では、ドル円が1ドル159円台後半で推移し、日中には一時160円台に乗せる場面もありました。過去最大規模の円買い介入の効果が薄れつつあるとの見方から、政府・日銀による再介入への警戒感がくすぶっています。最高値圏での過熱の調整と、海外発のリスク要因の両にらみで、神経質な地合いが続いています。
出典: Trading Economics / 日本経済新聞
日本国債の利回りが上昇、長期金利は2.5%台 — 20年債は一時3.5%台と利上げ織り込み、日銀は6/16-17会合へ
国内債券市場では、追加利上げ観測を背景に国債利回りの上昇(債券価格の下落)が続いています。10年物国債利回りは2.5%台で推移し、20年物利回りは5月に一時3.555%と高水準を付けるなど、年限の長い債券ほど利回りが上昇する「カーブのスティープ化」が進んでいます。これは、インフレが長期にわたり高止まりするとの見方が市場に広がっていることを映したものです。日銀の政策金利は現在0.75%ですが、市場は6月16〜17日の金融政策決定会合での追加利上げ(0.75%→1.0%)の確率を8割弱程度織り込んでいます。植田和男総裁は「適切なペースでの利上げ継続」に前向きな姿勢を示していますが、利上げは円安に歯止めをかける一方、国債利回りの一段の上昇や景気への下押しにもつながるため、難しいかじ取りが求められます。
出典: Trading Economics / 日本銀行
米株は序盤まだら模様 — ダウは小幅高もナスダックは続落、クラウドストライクが約10%安・半導体株も軟調
4日の米国市場は、序盤からまだら模様の展開となりました。ダウ工業株30種平均が小幅に上昇する一方、ハイテク比率の高いナスダック総合指数は下落し、S&P500も小幅安で推移しています。重荷となっているのは決算を発表した大型テック銘柄です。前日の好決算後に一転急落したブロードコムが引き続き13%前後下落したほか、サイバーセキュリティ大手のクラウドストライクが約10%下落しました。クラウドストライクの第1四半期決算は売上高13.9億ドル(前年比26%増)と市場予想を上回り、4対1の株式分割も発表しましたが、株価がすでに高水準にあったことから、決算を受けて利益確定売りが優勢となりました。「好決算でも売られる」展開は、AI・テック関連の高いバリュエーションに対する市場の警戒を改めて示しています。値がさのハイテクが上値を抑える一方、景気敏感株には買いも入り、指数間で方向感が分かれています。
出典: CNBC / Yahoo Finance
OECDが世界成長見通しを下方修正、2026年は2.8%へ — 中東発のエネルギー・物流ショックが重し、物価見通しは上方修正
経済協力開発機構(OECD)は、最新の経済見通しで2026年の世界全体の成長率予想を2.8%とし、2025年の3.4%から減速するとの見方を示しました。減速の主因として、イランをめぐる中東情勢の長期化と、ホルムズ海峡の海運封鎖やエネルギー関連インフラの損傷を挙げています。米国の2026年成長率は2.0%と見込まれています。OECDは、海運・エネルギー供給の混乱が2027年まで続く厳しいシナリオでは、世界成長率が2.1%まで一段と鈍化する可能性も併せて提示しました。一方、エネルギー価格の上昇を反映し、G20の先進国の2026年の総合インフレ率は4.0%と、従来予想から1.2ポイント引き上げられました。AI関連投資の底堅さが下支えする半面、地政学リスクが成長を抑えつつ物価を押し上げる「スタグフレーション的」な構図への警戒がにじむ内容です。
出典: CNBC / OECD
5日に米5月雇用統計 — 市場予想は非農業部門+9.5万〜10.5万人・失業率4.3%、FOMC(6/16-17)前の最重要指標
日本時間5日夜(米東部時間8時30分)に、米5月の雇用統計が発表されます。市場予想は非農業部門就業者数が前月比+9.5万〜10.5万人程度(民間部門は+10万人程度)で、確認されれば1年ぶりに3カ月連続のプラスとなります。失業率は前月から横ばいの4.3%が見込まれています。先に発表された5月のADP民間雇用が+12.2万人と予想を上回ったこともあり、労働市場の底堅さが意識されています。今回の統計は、6月16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にした最重要指標と位置づけられます。中東情勢に端を発したインフレ圧力が残るなか、雇用が想定以上に強ければ「高金利の長期化」観測が強まり、利下げ期待が後ずれする可能性があります。逆に失業率が4.5%方向へ上振れれば、金融引き締めの効果が表れ始めたとの見方につながりそうです。
出典: Kiplinger / U.S. BLS
原油は3日続伸後に反落、ブレントは97ドル割れ — EIA在庫は6週連続減(約798万バレル)、7日にOPECプラス会合
原油相場は、3営業日続伸したあと4日は反落し、北海ブレント先物が1バレル97ドルを割り込む水準まで下げました。前日まではWTI先物が96.02ドル、ブレントが97.81ドルで終えるなど中東情勢を背景に上昇していましたが、米イラン交渉の不透明感が改めて意識され、いったん上値の重い展開となっています。需給面では引き締まりが続いており、米エネルギー情報局(EIA)の週間統計では、商業用原油在庫が前週比約798万バレル減少しました。これは2月以来の大幅な取り崩しで、6週連続の減少となり、在庫は操業上の下限に近づきつつあるとされます。市場の関心は7日に開かれるOPECプラスの閣僚会合(第41回)に移っており、原油高局面で増産に踏み切るかどうかが焦点です。中東ではイランによる湾岸諸国への攻撃が続いており、ホルムズ海峡の供給リスクが引き続き相場の下支え材料となっています。
出典: Trading Economics / U.S. EIA