経済ニュースダイジェスト

2026/06/06(土)12:00 JST  |  号ID: 2026-06-06-1200

こんにちは。週末で主要市場が休場のため、本号は新規の重要トピックと、来週に向けた論点を中心にお伝えします。本号未明にお伝えした半導体株の急落とドル円の160円突破を受け、市場全体が「リスクオフ」に傾いています。そのなかで、(1)ホルムズ海峡を巡る米イランの新たな軍事的緊張、(2)ビットコインの6万ドル割れ、(3)金安・ドル高が示す『避難先の逆説』、(4)半導体株急落は行き過ぎかという市場の論争、(5)来週の日本株の見通し、(6)11日のECB理事会と7日のOPECプラス会合という来週のイベント、の6本を取り上げます。今週は新規の確報が乏しい時間帯のため、件数を絞っています。

米軍がホルムズ海峡でイランの無人機4機を撃墜、沿岸レーダー施設を空爆 — 停戦下も緊張続く

中東情勢では、停戦の枠組みが続くなかで新たな軍事的衝突が起きました。米中央軍(CENTCOM)は5日、ホルムズ海峡に向けて発射されたイランの攻撃用無人機4機を撃墜したと発表しました。米軍はこれを地域の海上交通への差し迫った脅威と判断し、応戦としてイラン南部ゴルクおよびゲシュム島の沿岸監視レーダー施設を空爆したとしています。トランプ米大統領は停戦を期限を定めずに延長する一方、交渉が「いずれにせよ決着する」まで米国による海上封鎖を継続する方針を示しています。国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、イランとの協議が核問題の予備的枠組みに向かう可能性に言及しましたが、先行きは依然不透明です。ホルムズ海峡は世界の海上輸送原油の約2割(日量約2,000万バレル)が通過する要衝で、こうした散発的な衝突は供給不安を通じて原油相場の重しとなり続けています。北海ブレント原油は1バレル94〜95ドル前後で推移しています。

ビットコインが6万ドルを割り込み、2024年10月以来の安値 — ETFは13日連続流出で過去最大44億ドル

暗号資産市場では、ビットコインが下落基調を強めました。5日のニューヨーク時間にビットコインは一時1枚=6万ドルを割り込み、2024年10月以来の安値を付けました。同日午前の水準はおよそ6万1,900ドルで、週間では約20%下落し、昨年10月に付けた12万6,000ドル超の最高値からは約52%安となっています。背景には、米国の現物ビットコインETFから13営業日連続で資金が流出し、累計約44億ドルと過去最大規模に達したことがあります。加えて、これまで最大の買い手だったマイケル・セイラー氏率いるストラテジー(旧マイクロストラテジー)が保有の一部を売却に転じたことが、需給悪化への警戒を強めました。強い米雇用統計を受けた米金利の上昇に加え、機関投資家の資金がAI関連株やスペースXなどの未公開株・IPOへ向かう「資金のローテーション」も、暗号資産からの資金流出を後押ししています。下落局面では約11億ドルのポジション強制清算(ロスカット)も発生しました。

金も週間4%安、買われたのは「ドル」 — リスクオフで安全資産の逆説

今回のリスクオフ局面で特徴的なのは、伝統的な安全資産とされる金が買われなかった点です。金相場は5日に1トロイオンス=4,370ドルを下回る場面があり、足元では4,400〜4,460ドル前後と週間で約4%下落しました。本来であれば中東の地政学リスクや株安は金の買い材料となりますが、今回は強い米雇用統計を受けた米長期金利の上昇とドル高が、金利を生まない金の重しとなりました。ドルは週間ベースで約2カ月ぶりの大きな上昇となる見通しで、ビットコインや金よりもドルそのものが選好される展開となっています。利回り上昇局面では、保有しているだけでは利息を生まない資産が相対的に不利になりやすく、当面は米金利とドルの動向が、金・暗号資産を含む幅広い資産の方向感を左右しそうです。

半導体株の急落は「行き過ぎ」か — 市場では押し目買いとの見方も

フィラデルフィア半導体指数(SOX)が2020年3月以来の急落となり、半導体株から1日で1兆ドル超の時価総額が失われたことを受け、市場ではこの下落が行き過ぎかどうかを巡る論争が始まっています。発端となったブロードコムの決算については、KeyBancのアナリストが投資判断「オーバーウエート」を維持し、今回の売りは事業の構造的な悪化ではなく「過熱した期待値の調整(リセット)」だとして、むしろ買いの好機との見方を示しました。同社は、エヌビディアを「文句なしの最良銘柄」と評価し、フルスタックのAI基盤を持つ同社には割高な株価倍率も正当化されるとしています。実際、急落局面でも一時2,800億ドルの時価総額を失ったエヌビディアは、取引時間中に一時プラス圏へ切り返す場面もありました。もっとも、市場全体としては、AI関連投資と企業業績の改善ペースが今後も持続するのかを見極める局面に入りつつあり、当面は値動きの荒い展開が続く可能性があります。

来週の日本株、予想レンジは6万4,000〜6万9,000円 — 週間では約5%高、AI・半導体の持続力を見極め

日本株は週末の調整を経たものの、週間ベースでは底堅さを保ちました。日経平均株価は3日に史上初めて取引時間中に6万8,000円台を付けた後に反落し、5日は前日比約882円安の6万6,588円で取引を終えましたが、週間では約5%の上昇となりました。市場関係者の間では、来週(6月8〜12日)の予想レンジを6万4,000〜6万9,000円とする見方が出ています。急ピッチの上昇の後だけに、目先は一進一退となりやすく、AI・半導体関連企業の業績改善ペースが持続可能かを見極める局面と位置づけられています。物色面では、上昇が際立った大型のAI・半導体株から、出遅れていた中小型株や、高市政権が掲げる「17の戦略分野」に関連する銘柄へ資金が分散する可能性も指摘されています。為替はドル円が160円近辺で推移し、政府・日銀による再介入への警戒が根強いほか、6月16〜17日の日銀金融政策決定会合での追加利上げ(政策金利0.75%→1.0%)観測が、引き続き相場の重要な変数となります。

来週の注目イベント — 11日にECB理事会、7日にOPECプラス会合

来週は、海外の金融政策イベントが市場の手掛かりとなります。欧州中央銀行(ECB)は11日に理事会を開き、市場は約98%の確率で0.25%の利上げ(預金ファシリティ金利2.00%→2.25%)を織り込んでいます。ユーロ圏ではエネルギー価格の上昇を背景にインフレ率が約3%に高止まりしており、利上げ自体はほぼ確実視されています。焦点は、中東情勢の悪化(イラン・ショック)後では初めてとなる最新の経済見通しと、ラガルド総裁が示す追加利上げの道筋です。市場は9月の追加利上げ、さらに年内3回目の可能性も意識し始めています。一方、原油市場では、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国による「OPECプラス」の閣僚級会合が7日(日曜)に予定されており、5月に決めた日量18.8万バレルの増産路線を維持・調整するかが焦点です。なお米国では来週は重要指標が少なく、過去に中間選挙の年の6月は季節的に株価が軟調になりやすいとされ、相場の荒い値動きの後だけに、短期的な調整・もみ合いを見込む声もあります。

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