週末朝の号をお届けします。東京市場は休場のため、本号は12日(金曜)の米国市場の動きが中心です。最大の話題は、前夜に上場したスペースXのデビューでした。初値1株150ドルで取引を始め、終値は公開価格を約19%上回る161ドル前後と、史上最大のIPOが好発進を切りました。これを支えに米株は主要3指数がそろって上昇し、ダウは5万1,202ドルへ続伸しました。一方、米・イランの和平合意は「75〜80%まで到達」との見方が広がるものの、ホルムズ海峡付近では米軍がイランの無人機2機を撃墜するなど、最終署名までの不透明感も残ります。供給回復への期待から原油は一段安となり、WTIは1バレル84ドル台へ下落しました。米ミシガン大学の消費者態度指数は3カ月ぶりに改善し、ガソリン安が家計心理を下支えしました。本号は(1)スペースXのデビュー、(2)米国株の終値、(3)消費者態度指数、(4)米イラン和平の最新情勢、(5)原油・金の5本立てです。
スペースXがデビュー、終値は公開価格を19%上回る161ドル — 時価総額はテスラ超えの約1.9兆ドルに
史上最大のIPOとなったスペースXが12日、ナスダック市場で取引を開始しました。公開価格は1株135ドルでしたが、寄り付きは150ドルと早々に上放れし、取引開始直後には一時20%超の上昇となりました。日中は150〜176ドル台の広いレンジで荒い値動きとなったものの、終値は前日の公開価格を約19%上回る161ドル前後で着地しました。この水準での時価総額は1.9兆ドル規模に膨らみ、上場初日にしてテスラの時価総額を上回る計算となります。需要が供給株数の4倍超に膨らんだことで、一部の個人投資家からは「証券会社のシステムが混雑して注文が通りにくかった」との声も上がりました。宇宙ビジネスの商業化を象徴する大型上場が好発進を切ったことは、米国株全体のリスク選好を支える材料となりました。もっとも、固定価格方式の超大型上場だけに、上場直後の需給は不安定で、来週以降の値固まりが次の焦点です。
出典: CNBC / TradingView
米株3指数そろって上昇、ダウ5万1,202ドル — スペースX好発進と和平期待が追い風
12日のニューヨーク株式市場は主要3指数がそろって上昇して引けました。ダウ工業株30種平均は前日比353.51ドル高(+0.7%)の5万1,202.26ドル、S&P500種株価指数は+0.5%の7,431.46、ナスダック総合指数は+0.31%の2万5,888.84でした。スペースXの上場初日の急騰が投資家心理を明るくし、米・イランの和平合意が近いとの期待も相場を支えました。週を通じてみると、5月の消費者物価指数(CPI)が前年比4.2%、卸売物価指数(PPI)が前年比6.5%と高インフレが改めて確認され、来週16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きが見込まれています。年内の利下げ観測はほぼ後退し、市場は年末の追加利上げの可能性すら一部織り込む展開です。インフレ警戒が株価の上値を抑える一方、和平進展に伴う原油安が物価沈静への期待を支えるという綱引きが続いています。
出典: TheStreet / CNBC
米消費者態度指数が3カ月ぶり改善、6月速報48.9 — ガソリン安が家計心理を下支え
米ミシガン大学が12日発表した6月の消費者態度指数(速報値)は48.9と、過去最低だった5月の44.8から約9%改善し、3カ月ぶりの上昇となりました。2月以降は米・イラン戦争に伴うエネルギー価格の高騰が重しとなっていましたが、足元でガソリン価格が下落したことが家計心理の回復につながりました。改善は年齢・学歴・支持政党を問わず幅広く、特にガソリン代の負担が大きい低所得層で顕著でした。ただし、指数の水準はなお歴史的な低さにあり、1月比で13%、1年前比でほぼ20%低い水準にとどまります。回答者が見込む今後1年間の予想インフレ率は4.6%、5〜10年先は3.4%と、いずれも2024年に定着していた2.8〜3.2%のレンジを上回り、物価高への根強い警戒感がうかがえます。確報値は26日に公表される予定です。
出典: CNN Business / FXStreet
米イラン和平は「75〜80%まで到達」 — 最終文書合意の報道も、ホルムズ付近で無人機2機撃墜
米・イランの和平交渉は最終局面ながら、決着には至っていません。トランプ政権高官は、合意の大枠と詳細条項の双方で一致したとしつつ、「署名するまで合意は成立していない」と述べ、メモランダムは「75%程度の到達度」との認識を示しました。別の政権高官は、数日内に署名される確率を「80%」と見積もっています。仲介に当たるパキスタンのシャリフ首相は「最終文書に到達し、次の段階の詰めを両国と進めている」と語りました。合意はホルムズ海峡の再開放、米海軍による海上封鎖の解除、イランの核計画の解体と濃縮ウランの搬出を柱とするとされます。一方で、12日早朝にはイラン側が通航中の船舶に発砲したとして、米軍がホルムズ海峡付近でイランの攻撃用無人機2機を撃墜しました。イラン外務省報道官は「最終決定にはなお至っていない」と慎重姿勢を崩しておらず、週末にかけての署名の有無が市場の最大の関心事です。
出典: RFE/RL / CNBC
原油は続落、WTI84ドル台・ブレント87ドル台へ — 和平接近で供給途絶プレミアム剥落、金は4,200ドル台で小動き
原油相場は一段と下落しました。米WTI原油先物は前日比3.2%安の1バレル=84.88ドル、北海ブレント原油は3.4%安の87.33ドルで取引を終えました。イランが和平協議に前向きな姿勢を示したことでホルムズ海峡の通航再開期待が強まり、地政学リスクに伴う供給途絶プレミアムが急速に剥落したためです。価格は2026年の高値から2割を超える調整局面が続いています。ただし、署名が完了するまで海上封鎖は維持される見通しで、実際の輸送正常化には時間を要するとの慎重論も残ります。一方、金相場は1トロイオンス=4,210ドル前後と小動きでした。和平接近に伴うリスク選好が安全資産需要を抑える半面、5月PPIが前年比6.5%と高インフレを示したことで根強い物価警戒が下値を支え、方向感を欠く展開となっています。来週のFOMCと日銀会合を前に、市場は神経質な値動きが続きそうです。
出典: CNBC / Trading Economics