日曜早朝の号をお届けします。米国市場は19日(金)がジューンティーンスの祝日で休場、週末も取引はなく、東京・欧州市場も休みのため、ひと晩で新たに生じた市場材料は限られます。そこで本号は、週末に動いた地政学の最新局面を中心に3本に絞ってお伝えします。最大の動きは、いったん署名にこぎ着けた米イラン和平の実務協議が早くも頓挫したことです。供給不安が和らいでいた原油市場や、中東リスクに敏感な相場の地合いに影響しかねません。あわせて、休場明けの22日(月)から始まる「世界の中央銀行・物価指標ウィーク」の見どころと、週末の暗号資産の値動きを整理します。市場全体を貫くテーマは引き続き、ウォーシュ新FRB(連邦準備理事会)議長のタカ派姿勢を背景としたドル高・米金利上昇です。
米イランの直接協議が早くも頓挫 — イランが「レバノン停戦」を条件、ヴァンス氏の訪欧見送り
中東和平の履行に黄信号がともりました。6月14日に成立した覚書(MOU)に基づき、米国とイランは17日の首脳署名を起点に60日以内の枠組み合意を目指して交渉に入る予定でしたが、週末にスイス・オブビュルゲンで開く第1回の実務協議が中止となりました。イラン側は、レバノンでイスラエルが続けるヒズボラへの攻撃が止まらない限り協議には応じられないとして、予定していたスイス入りを見送ったと伝えられています。イランとの技術協議に臨むため夜間便での渡欧を準備していたヴァンス副大統領も、出発を直前で取りやめました。トランプ大統領はSNSで「我々は切迫して会談に臨んだのではない。切迫していたのはイランの方だ」と反発し、レバノン情勢の緊迫と相まって、対話の先行きには不透明感が漂っています。要衝ホルムズ海峡の海運正常化は署名後に進みつつあるものの、2カ月の交渉期限内に和平が定着するかは見通せず、供給不安の後退で値を下げてきた原油には、地政学リスクの蒸し返しという逆方向の材料となり得ます。
出典: AP(Chattanooga Times Free Press) / The Times of Israel
休場明けは「世界の中銀・物価ウィーク」 — PBOC・各国PMI・日本CPI・米PCEが集中
ジューンティーンス連休明けの22日(月)から、世界の金融市場は重要イベントが集中する一週間に入ります。月曜は中国人民銀行(PBOC)の政策金利決定とカナダの消費者物価指数(CPI)、火曜は独・ユーロ圏・英・米のS&Pグローバル製造業・サービス業PMI(購買担当者景気指数)速報値、木曜には米国の5月PCE(個人消費支出)デフレーター、1〜3月期GDP(国内総生産)確定値、そして日本の全国CPIと、注目指標が立て続けに公表される見通しです。最大の焦点はFRBが重視する米PCEで、エネルギー高を背景にインフレの高止まりが確認されれば、年内利上げに前のめりなウォーシュ議長下のFRBを巡る思惑から、ドル高・米金利上昇に拍車がかかりかねません。日本のCPIは、歴史的な円安と日銀(日本銀行)の政策運営を占ううえで重みを増しています。なお英イングランド銀行(BoE)は政策金利を3.75%で据え置き、ユーロ圏のZEW景況感指数は6月に前月のマイナス9.1からプラス9.5へ大きく改善しました。半導体大手マイクロン・テクノロジーや物流大手フェデックスの決算も予定され、世界の株式・債券・為替の方向感を左右する一週間となります。
出典: IG / LiteFinance
暗号資産は下げ渋り — ビットコイン6万3,600ドルへ小反発、なお時価総額1.27兆ドル
週末も24時間取引が続く暗号資産市場では、前日に急落したビットコインがやや下げ渋りました。代表的なビットコインは20日に1枚=6万3,600ドル前後と、19日に付けた6万2,300ドル台の安値からわずかに値を戻しています。24時間の取引高は約104億ドル、時価総額はおよそ1.27兆ドルです。もっとも、6月1日の7万2,000ドル台や過去最高値の12万6,080ドルからは依然として大きく水準を切り下げたままで、本格的な反発とは言い難い地合いです。背景には、タカ派FRBを受けたドル高・米金利上昇により、利息を生まないリスク資産から資金が流出しやすくなっていることがあります。加えて、米イランの和平協議が頓挫したことで、週初に相場を支えた地政学リスク後退への期待もはく落しました。株式以上に金利・ドルの方向に敏感な値動きが続いており、休場明けの米国市場が金融環境の引き締まりをどう織り込むかが、当面の暗号資産相場の重しと支えの綱引きを左右しそうです。
出典: CoinDesk / Fortune