こんにちは。きょうは世界の物価指標が相次ぐ「インフレ・デー」です。けさ発表された中国の5月卸売物価(PPI)は約4年ぶりの高い伸びとなり、イラン紛争に伴う資源高がアジアの生産現場にも波及していることを裏づけました。そして今夜(日本時間21時半)には今週最大の関門である米5月消費者物価指数(CPI)、あすにはECB理事会が控えます。東京市場は、前日まで3営業日で約5,300円戻した反動と、9日の米軍ヘリ撃墜を受けた中東リスクの再燃を意識し、利益確定売りに押される神経質な展開です。ドル円は160円台前半で介入警戒が強まっています。本号は、CPI前夜の市場とインフレ再加速を中心に5本立てでお届けします。
東京市場は利益確定売りに反落、ドル円160円台前半で介入警戒 — CPI前夜で様子見
10日午前の東京株式市場は、前日までの大幅高の反動から利益確定売りが優勢となり、日経平均株価は反落して推移しました。前日9日は終値で前日比1,392円高(2.17%高)の6万5,416円と4営業日ぶりに反発し、直近3営業日で約5,300円を戻していたため、利益を確定する売りが出やすい地合いでした。半導体・AI関連はまちまちで、アドバンテストなど値がさ株に売りが出る一方、村田製作所などには買いが入り、下値を支えています。9日の米軍ヘリ撃墜とトランプ米大統領の報復示唆を受け、中東情勢は引き続き予断を許さず、買い手控えにつながりました。外国為替市場では、ドル円が午前10時時点で1ドル160円38銭近辺と、前日夕方から19銭ほど円安・ドル高が進みました。4月30日の介入直前の安値である160円70銭が視野に入りつつあり、東京市場では円買い介入への警戒が一段と強まっています。市場では「日本側の円安阻止への熱量が不足している」との見方もあり、今夜の米CPI次第ではドル円が一段と振れる可能性があります。
出典: みんかぶFX / 日本経済新聞
中国5月の卸売物価が約4年ぶり高水準、前年比3.9%上昇 — 資源高が波及、消費はなお弱く
中国国家統計局が10日発表した5月の生産者物価指数(PPI、卸売物価)は前年同月比3.9%の上昇となり、4月の2.8%上昇から加速しました。これは2022年7月以来、約4年ぶりの高い伸びで、3カ月連続のプラスです。イラン紛争に伴う世界的な原油・コモディティ高で供給網のコストが押し上げられたことに加え、過剰生産能力の削減や過度な価格競争の是正に向けた当局の取り組みも、工場出荷価格の底上げに寄与しました。生産財価格は前年比5.2%上昇(4月は3.8%上昇)と伸びを強め、鉱業(15.8%上昇)や原材料(9.2%上昇)が牽引しています。一方、消費者物価指数(CPI)は引き続き力強さを欠き、生鮮食品などを除くコアの伸びは前月から鈍化、消費財価格はマイナス0.8%(4月はマイナス1.0%)と下落が続いています。生産者側の物価上昇と、消費者側の根強い弱さという「ねじれ」が一段と鮮明になりました。資源高による川上インフレが、長く続いたデフレ圧力を和らげつつも、内需の弱さという構造問題はなお残る格好です。
出典: CNBC / Investing.com
原油はブレント91ドル台に下落、米エネルギー長官「ホルムズ通航は増加」 — ヘリ撃墜で再燃懸念
原油相場は軟調が続いています。国際指標の北海ブレント原油は9日、前日比2.97%安の1バレル91.45ドルで引けました。米国のエネルギー長官が「ホルムズ海峡の船舶通航は増えており、今後も増え続ける」と述べ、供給途絶への過度な警戒が後退したことが売りを誘いました。イランとイスラエルが相互の攻撃を停止し、和平交渉の進展期待が出ていることも重しです。ただ、ホルムズ海峡は米国とイランによる事実上の二重封鎖でなお実質的に閉鎖状態とされ、原油や燃料、天然ガスの出荷は深刻に滞ったままです。価格を100ドル割れにとどめている要因の一つには、世界最大の輸入国である中国が在庫を取り崩して供給ショックを和らげる「圧力弁」の役割を果たしていることもあります。もっとも、9日の米軍ヘリ撃墜とトランプ氏の報復表明により、供給途絶リスクはいつ蒸し返してもおかしくない不安定な地合いが続いており、原油はインフレと地政学の双方の思惑で振れやすい状態です。
出典: CNBC / Trading Economics
今夜の米5月CPIが最大の関門、市場予想は前年比4.2% — 上振れなら「より高く長く」観測強まる
今週最大の経済指標、米5月CPIが日本時間10日21時半(米東部時間8時半)に発表されます。ロイターのエコノミスト調査では、前年同月比4.2%の上昇が見込まれ、これが実現すれば2023年4月以来の高い伸びとなります。前月比は0.5%、変動の大きい食品・エネルギーを除くコア指数は前年比2.9%・前月比0.3%が予想されています。4月のCPIが前年比3.8%だったことから、一段の加速が見込まれる計算で、背景にはイラン紛争に伴うガソリンなどエネルギー価格の上昇があります。金利先物市場は2026年内の利下げを一切織り込んでおらず、むしろ年末までの利上げ確率を約30%まで高めています。上振れが確認されれば「より高く、より長く」金利を据え置く、あるいは利上げに動くとの観測が強まり、ドル高や株式・債券の変動拡大につながりかねません。中国の卸売物価上昇に続き、米欧の物価指標が出そろう今週は、世界的なインフレ再加速がどこまで進むかを見極める節目となります。16〜17日のFOMCはウォーシュ新議長の下で据え置きが見込まれており、CPIはその地ならしとして注目されます。
出典: Kiplinger / Trading Economics
あすはECB理事会、0.25%利上げで預金金利2.25%へ — 市場は9割超織り込み、追加利上げ示唆に注目
欧州中央銀行(ECB)は11日に理事会を開きます。市場は0.25%の利上げで預金金利を2.25%へ引き上げる確率を9割超(一部では99%)織り込んでおり、利上げ自体はほぼ既定路線です。ユーロ圏のインフレ率はイラン紛争に伴う資源高を背景に4月に3%へ再加速しており、理事会メンバーからは利上げを明確に示唆する発言が相次いでいました。インフレ期待を抑え込む姿勢を示すことが、利上げの主な狙いとされています。焦点は、ラガルド総裁が記者会見で今後の利下げ・利上げ余地をどこまで残すかです。市場は9月にもう一段の利上げがある確率を約50%とみており、夏場の追加引き締めを示唆するかどうかが、ユーロや欧州債の方向感を左右します。利上げに動くECBと、CPIを見極める米連邦準備制度理事会(FRB)、追加利上げをにらむ日銀と、主要中銀の政策の綱引きが、当面の為替相場を一段と複雑にしています。
出典: FXStreet / Trading Economics