経済ニュースダイジェスト

2026/06/06(土)06:00 JST  |  号ID: 2026-06-06-0600

おはようございます。本号は、日本時間6日未明に取引を終えた米国株式市場の大幅安を中心にお伝えします。前号でお伝えした強い米5月雇用統計を受け、米長期金利が一段と上昇するなか、ブロードコムの決算をきっかけとした半導体株への売りが市場全体に波及し、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は1日で4%超下落しました。半導体株からは1日で1兆ドル超の時価総額が失われ、アジア・欧州にも動揺が広がっています。本号では、(1)米株急落、(2)半導体株の歴史的な売り、(3)米長期金利と利上げ観測、(4)ドル円の160円突破、(5)アジア市場への波及、(6)7日のOPECプラス会合、の6本を取り上げます。

米株が急落、ナスダックは4%安で約1年2カ月ぶりの大幅下落 — 半導体売りと金利上昇が直撃

5日の米国株式市場は大幅に下落しました。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は前日比4.18%安の25,709.43で取引を終え、2025年4月以来の大きな下落率となりました。S&P500種株価指数は2.64%安の7,383.74、ダウ工業株30種平均は695.15ドル安(1.35%安)の50,866.78ドルで引けました。下落の直接の引き金は半導体株への急激な売りですが、その背景には、前号でお伝えした予想を大きく上回る米5月雇用統計(就業者数前月比+17.2万人、予想約+8万人)があります。労働市場の底堅さが改めて確認されたことで、米連邦準備制度(FRB)の利下げ観測が後退し、金利上昇を嫌気した売りが広範な銘柄に及びました。市場では、本来は好材料であるはずの強い雇用が、金融引き締めの長期化につながるとして売り材料と受け止められる「グッドニュースはバッドニュース」の典型的な展開となりました。

半導体株から1日で約1.2兆ドルが消失 — フィラデルフィア半導体指数は2020年3月以来の急落

今回の下落で中心となったのは半導体セクターです。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は、新型コロナ初期の2020年3月以来となる1日あたりの下落率を記録しました。米経済メディアの集計によれば、半導体関連株からは1日で約1.2兆ドルの時価総額が失われ、うち上位10銘柄だけで約9,230億ドルを占めたとされます。個別では、エヌビディアが約6%下落して時価総額が5兆ドルを割り込み、同社だけで約2,800億ドルが消えた計算です。マイクロン・テクノロジー、AMD、クアルコムはいずれも9%超の下落となりました。発端は3日引け後に発表されたブロードコムの決算で、AI半導体の通期売上見通しが市場予想を下回ったことです。AI関連投資の高い期待に対する失望が、セクター全体へと連鎖的に波及した形です。

米10年債利回りが4.54%へ上昇 — 年内利上げ観測の確率は7割に

債券市場では、強い雇用統計を受けて米国債利回りが上昇しました。指標となる米10年債利回りは6ベーシスポイント超上昇して4.544%まで上昇し、5月21日以来の高水準を付けました。労働市場の底堅さが景気の過熱懸念につながり、FRBがインフレ抑制のために引き締めを続ける、あるいは追加利上げに動くとの見方が広がったためです。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchによれば、2026年末までにFRBが利上げに踏み切る確率は約70%まで上昇しました。一方で、6月16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置きは引き続きほぼ確実視されています。金利の先高観が、配当や成長期待で買われてきた割高なハイテク株の重しとなり、今回の株安を増幅させた面があります。市場の関心は、当面「高い金利がどれだけ長く続くか」に移っています。

ドル円が160円を突破、約21カ月ぶり円安水準 — 介入警戒で上値は重く

外国為替市場では、強い米雇用統計とそれに伴う米金利上昇を背景にドルが買われ、ドル円は一時1ドル=160円台に乗せ、約21カ月ぶりの円安水準を付けました。日米の金利差が改めて意識されたことに加え、中東情勢を巡る不透明感が安全資産としての円買いを抑える要因にもなっています。ただし、節目の160円は過去に政府・日本銀行による為替介入の引き金となった水準であり、その接近を受けて片山さつき財務相は「いつでも対応する用意がある」「過度な変動には断固たる措置を取る」と改めてけん制しました。こうした当局の警告が、円の一段の急落に歯止めをかける格好となっています。日銀は6月16〜17日の金融政策決定会合で追加利上げ(政策金利0.75%→1.0%)を探るとみられ、日米双方の金融政策の動向が、引き続き為替相場の方向感を左右しそうです。

アジアに動揺が波及、韓国コスピが5.5%安でサーキットブレーカー発動

半導体株の急落は、メモリーや受託製造で世界的な存在感を持つアジア市場を直撃しました。韓国の総合株価指数コスピは、取引時間中に一時6%超下落し、コスピ200先物が5%下げたことでサーキットブレーカー(一時的な取引停止措置)が発動されました。終値は5.54%安となり、約1年7カ月ぶりの大幅下落を記録しました。指数全体の半分超を占めるサムスン電子が6.4%安、SKハイニックスが9.92%安と、半導体2銘柄が指数を大きく押し下げました。両社は今年のコスピ上昇の大半を牽引してきただけに、特定銘柄への集中リスクが改めて意識される結果となりました。同様の動きは欧州にも広がり、オランダのASMLが3.8%安、ドイツのインフィニオンが6%超下落しました。AI関連投資を支えてきた半導体株への楽観に、世界的に修正が入りつつあります。

7日にOPECプラス会合、増産の是非が焦点 — 原油はブレント94〜95ドル近辺

週末の注目イベントとして、7日に石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の閣僚級会合が予定されています。市場では、増産ペースを巡る判断が焦点となります。OPECプラスは5月3日の会合で、6月から日量18.8万バレルの増産を決めており、今回もこの路線を維持・調整するかが注目されます。原油相場は足元で、北海ブレント原油が1バレル94〜95ドル前後で推移しています。中東情勢を巡っては、米国とイランが敵対行為を一時停止する60日間の覚書(MOU)で大筋合意したと報じられたものの、トランプ米大統領による承認が残っているほか、イラン側は交渉に進展はないとするなど、和平の持続性には不透明感が残ります。地政学リスクによる供給不安と、世界景気の減速懸念による需要鈍化観測が綱引きする状況が続いており、7日の会合結果は週明けの相場の重要な手掛かりとなります。

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