こんばんは。週末で主要市場が休場のため、本号は新規の重要トピックが限られています。そのなかで、本日未明から続く半導体株急落の余韻を踏まえつつ、来週に向けた論点を中心にお伝えします。具体的には、(1)米イランの核交渉が「枠組み」合意に接近との報道、(2)あす7日に迫ったOPECプラス会合と原油の行方、(3)米中の貿易摩擦再燃と相互関税引き下げ協議の動き、(4)英国の金融政策を巡る論点、(5)来週の日米欧マーケットの注目点、の5本を取り上げます。新規確報が乏しい時間帯のため、件数を絞っています。
米イラン核交渉、「枠組み」合意に接近か — IAEA事務局長が言及も「濃縮ゼロ」で隔たり
中東情勢では、緊張が続く一方で外交面の進展も伝えられました。国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は5日、米国とイランの交渉について、核問題を巡る「枠組み」の合意にかなり近づいているとの見方を示しました。両者は停戦延長とイランの核開発を巡る協議入りを定める60日間の覚書(MOU)で大筋合意していますが、トランプ米大統領は覚書に修正を求めており、イランの履行時期やホルムズ海峡の管理を巡る文言が論点となっています。最大の隔たりは、米国が求める「ウラン濃縮ゼロ」をイランが受け入れるかどうかで、イランは民生用の核技術の権利を主張し対立が続いています。グロッシ氏は、IAEA査察官のイラン核施設への立ち入りが依然として限定的であることにも言及しました。交渉の行方は原油相場の重要な変数で、合意進展は供給不安の後退を通じて原油の重しとなりやすい一方、決裂すればホルムズ海峡を巡るリスクが再燃します。北海ブレント原油は1バレル94〜95ドル前後で推移しています。
出典: Pakistan Today(IAEA) / CNN
あす7日にOPECプラス閣僚会合 — 増産路線の是非が焦点、原油は90〜100ドルのレンジ
原油市場では、あす7日(日曜)に石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国による「OPECプラス」の主要7カ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)が閣僚級会合を開きます。7月の生産目標を協議する見通しで、5月3日の会合で決めた日量約18.8万バレルの増産路線を維持・調整するかが焦点です。市場は地政学リスクによる供給不安と、世界景気の減速に伴う需要鈍化懸念の綱引きを意識しており、当面は1バレル90〜100ドルのレンジ内での推移を見込む声が多くなっています。原油高はインフレ圧力を通じて各国の金融政策にも影響し、後述するECBの判断材料にもなります。会合結果は週明けの相場の手掛かりとなりそうです。
出典: CNBC / TradingKey
米の「強制労働」追加関税に中国が反発 — 報復は見送り、相互引き下げへ「貿易委員会」協議も
貿易を巡る動きでは、米国通商代表部(USTR)が60の国・地域に対し「強制労働」を理由に最大12.5%の追加関税を提案したことを受け、中国が反発を強めています。中国商務省の何咏前報道官は4日の記者会見で、「強制労働を口実とした一連の貿易制限を含む、あらゆる形態の一方的な制限措置に反対する」と表明しました。一方で、中国は非難にとどまり、現時点で対抗措置の発動は見送っています。中国外務省も「中国に強制労働は存在しない」と反論しました。もっとも、米中は先月の首脳会談で合意した「米中貿易委員会」の枠組みを通じて相互の関税引き下げを協議する道も残しており、米政府はその範囲について意見公募を始めています。各種既存関税を含めた中国製品への実効税率は依然3割近くと、主要国で最も高い水準にありますが、対立一辺倒ではなく対話の余地も併存する展開となっています。
出典: CNBC / China.org.cn(商務省)
英イングランド銀行は18日会合 — CPI3.3%でも据え置き観測、インフレと低成長のはざま
欧州の金融政策に目を転じると、英イングランド銀行(BOE)は18日に金融政策委員会(MPC)の結果を公表します。英国の消費者物価指数(CPI)上昇率は3.3%へと再加速し、エネルギー価格の上昇を背景に年後半にかけてさらに高まる可能性が指摘されています。4月29日までの会合では、MPCは8対1の賛成多数で政策金利(バンクレート)を3.75%に据え置き、1人が0.25%の利上げを主張しました。市場は、上振れするインフレと弱い成長、エネルギー価格を巡る不透明感を中央銀行がなお見極める局面にあるとして、18日会合での据え置きを見込んでいます。物価高と景気停滞が併存する「スタグフレーション」的な環境は、利上げに動いたECBとは対照的で、欧州内でも中央銀行の判断が分かれている点が注目されます。
出典: Bank of England / MoneyWeek
来週の日米欧マーケット — 半導体急落後の値固めを見極め、ECB11日・日銀16〜17日が節目
来週の市場は、本日記録した半導体株の急落(フィラデルフィア半導体指数=SOXは2020年3月以来の大幅安、半導体株から1日で約1.2兆ドルの時価総額が消失)の後をどう消化するかが当面の焦点です。発端となったブロードコムのAI見通し未達を「構造悪化ではなく過熱した期待値のリセット」と捉え、押し目買いの好機とする見方がある一方、強い米雇用統計(5月の非農業部門就業者は+17.2万人)を受けた米長期金利の上昇(10年債利回りは一時4.5%台)と、年内利上げ観測の再浮上が重しとなっており、値動きの荒い展開が続く可能性があります。金融政策イベントでは、欧州中央銀行(ECB)が11日の理事会で0.25%の利上げ(預金金利2.00%→2.25%)に踏み切るとの見方がほぼ確実視され、ラガルド総裁が示す追加利上げの道筋が注目されます。日本では16〜17日の日銀金融政策決定会合での追加利上げ(政策金利0.75%→1.0%)観測が相場の重要な変数で、ドル円が160円近辺で推移するなか、政府・日銀による再介入への警戒も根強い状況です。米国は来週、重要指標が少なく、相場は内外の金利と地政学リスクに左右されやすい地合いが続きそうです。
出典: TheStreet / investingLive(ECB)