経済ニュースダイジェスト

2026/06/11(木)22:00 JST  |  号ID: 2026-06-11-2200

夜の号をお届けします。本日最大の出来事は、欧州中央銀行(ECB)が約3年ぶりの利上げに踏み切り、預金金利を2.25%へ引き上げたことです。一方、中東では米・イランの応酬が2日連続で激化し、イラン革命防衛隊(IRGC)がホルムズ海峡の「全面閉鎖」を改めて宣言しました。東京株式市場は前日までの急落のあと小反発で取引を終え、ドル円は160円台で介入警戒が続いています。原油は紛争激化と和平観測のはざまで乱高下しました。本号は(1)ECB利上げ、(2)中東情勢、(3)東京株終値、(4)原油、(5)ドル円・日銀の5本立てです。

ECBが約3年ぶり利上げ、預金金利を2.25%へ — ラガルド総裁は追加余地を温存

欧州中央銀行(ECB)は11日の理事会で、政策金利を0.25%引き上げ、預金ファシリティ金利を2.00%から2.25%としました。利上げは2023年以来およそ3年ぶりで、市場の事前予想どおりの結果です。イラン紛争に伴う資源高でユーロ圏の消費者物価が5月に前年比3.2%へ加速し、目標の2%を大きく上回り続けていることが背景にあります。ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、今後の政策運営について「すべての選択肢を維持する」と述べ、夏場の追加利上げの可能性を残しつつも、特定の道筋には事前にコミットしない姿勢を強調しました。市場では9月にかけてもう一段の利上げがあるとの観測がくすぶっており、利上げに動くECB、据え置きが見込まれる米FRB、来週に利上げ観測が高まる日銀という主要中銀の方向性の違いが、当面の為替相場の波乱要因として意識されています。

米・イランの応酬が2日連続で激化 — IRGCがホルムズ「全面閉鎖」を再宣言

中東情勢は一段と緊迫しました。米軍がイランへの空爆を2日連続で実施したのに対し、イランはバーレーン・クウェート・ヨルダンにある米軍基地への攻撃を主張し、ホルムズ海峡では2隻の船舶をミサイル・無人機で攻撃したと表明しました。イラン革命防衛隊(IRGC)は、米国による4月の停戦合意違反への報復だとして、ホルムズ海峡を「追って通知があるまで閉鎖する」と宣言し、原油タンカーや商船を含むあらゆる船舶を攻撃対象とする構えを示しました。同海峡の通航は2月末の開戦以降ほぼ封鎖された状態が続いており、報道や統計によると原油輸送船は約95%、LNG船は約99%減少したとされ、世界のエネルギー・食料価格を押し上げる要因となっています。もっとも本日後半には、米軍が「今回の対イラン攻撃を完了した」と発表したことで和平交渉の再開期待もにわかに浮上し、市場は強弱材料の交錯に神経を尖らせています。

東京株は小反発で引け、日経平均6万4,217円 — 朝安後に主力株へ買い戻し

11日の東京株式市場で日経平均株価は、前日比38円高(+0.06%)の6万4,217円27銭と、小幅ながら3営業日ぶりに反発して取引を終えました。前場は米株続落と中東警戒を引き継いで一時260円超下げる場面もありましたが、午後にかけて値がさの主力株の一角に買い戻しが入り、下げ幅を消してわずかにプラス圏で着地しました。前日(10日)に1,200円を超える急落を演じた反動で、自律反発を狙った押し目買いと、来週の日銀会合を前にした持ち高調整の売りが交錯する一日となりました。半導体・AI関連はまちまちで、指数寄与度の大きい銘柄が方向感を欠くなか、内需・ディフェンシブ株が相場を下支えしました。信用買い残が高水準にあることから上値では戻り売りが出やすく、6万4,000円台での神経質なもみ合いが続いています。

原油は和平観測で乱高下 — ブレントは一時95ドル接近後に90ドル割れへ反落

原油相場は本日、強弱材料の交錯で激しく上下しました。北海ブレント原油は、米・イランの応酬激化と供給途絶への警戒から一時1バレル95ドル近くまで上昇しましたが、その後は米軍が対イラン攻撃の完了を発表したことで和平交渉再開への期待が浮上し、90ドルを割り込む水準まで反落しました。値動きの背景には、ホルムズ海峡の事実上の封鎖が続く一方で、限定的ながらペルシャ湾からの原油搬出が再開しているとの観測や、世界最大の輸入国である中国の需要鈍化があります。米軍は商船の通航支援を続けていると説明する一方、イラン側は通航を試みた船舶への攻撃を主張しており、現場認識の食い違いが供給見通しの不確実性を高めています。地政学プレミアムの剥落と再付与が短時間で繰り返される、ボラティリティの高い地合いが続いています。

ドル円は160円台で介入警戒続く — 来週の日銀利上げ観測がにらみ合いの軸に

外国為替市場では、ドル円が1ドル160円台と、政府・日銀が円買い介入に動く直前だった4月30日以来の高値圏で推移しています。10日移動平均線が160円ちょうど手前に位置し、テクニカル上の節目として意識されています。政府・日銀は4月末以降に総額約11.7兆円とされる大規模な円買い介入を実施しましたが、中東有事を背景とした「有事のドル買い」の流れは止まらず、相場は介入前の水準にほぼ逆戻りしました。市場では「介入がかえって短期勢の円売りを呼び込んだ」との指摘や、「160円が防衛ラインと見なされれば介入効果は低下しかねない」との見方も広がっています。こうしたなか、来週15〜16日の日銀金融政策決定会合では政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げるとの観測が約8〜9割織り込まれており、為替介入と追加利上げのどちらが円安に歯止めをかけるかが、当面の最大の焦点となっています。

過去号