経済ニュースダイジェスト

2026/05/31(日)22:00 JST  |  号ID: 2026-05-31-2200

日曜で主要市場は休場のため新規ニュースは限定的ですが、トランプ大統領のSituation Room会合後の「最終判断」保留、CNBCが5月30日に提示したホルムズ通航「二極化60〜70%」シナリオ、ウクライナによるタガンログ港の油タンカー空爆、5月のWS総括(Nasdaq+8%・S&P+5%・Dow初の51,000ドル台)、暗号資産ETFの長期流出継続の5本に絞ってお届けします。

米イラン60日停戦MOU、トランプ大統領Situation Room会合後も「最終判断」保留 — ホルムズ通航・濃縮ウラン処分・凍結資産解除が論点

トランプ大統領は現地時間5月29日(金)夕にホワイトハウスのSituation Roomで国家安全保障チームと協議した後、記者団に対し米イラン60日停戦覚書(MOU)について「最終判断は近く下す」と述べるにとどまり、5月31日22時現在も正式署名は確認されていません。MOU案には(1)ホルムズ海峡の「無制限通航」確保(30日以内にイラン側が機雷除去)、(2)イランによる「核兵器を保有しない」誓約、(3)濃縮ウランの処分方法および濃縮活動の在り方を最初の60日で交渉、(4)米国による段階的な制裁緩和と凍結資産の解放議論、が盛り込まれる見通しです。仲介役を担うパキスタンとカタールは「ハメネイ最高指導者の最終承認も保留中」と説明しており、市場では月曜のアジア時間寄り付きで「停戦進展ではなく停戦遅延」を織り込み直す可能性があり、Brent原油の月初リバウンド(90ドル割れ→92ドル台)と円買い・ゴールド戻り買いに警戒が必要です。

ホルムズ海峡の通航、停戦合意後も「戦前比60〜70%・二極化シナリオ」 — 中国系船は自由通航、欧米系はイラン承認が必要との見方

CNBCが5月30日に公表したエネルギー業界アナリスト分析によれば、米イラン停戦MOUが正式発効しても、ホルムズ海峡を通過する原油タンカーの量は戦前水準(日量1,700〜1,800万バレル)に完全復帰せず、当面は60〜70%水準にとどまる公算が大きいとされます。理由として(1)機雷除去とポート修復に数週間〜数カ月を要する、(2)保険プレミアム(戦争リスク特約)が高止まりする、(3)2024年初頭の紅海・フーシ派危機と同様に「商用海運の正常化は地政学解決から大幅にラグを伴う」、の3点が挙げられました。さらに、中国系シャドーフリート(イラン産原油の主要買い手)は自由に通航する一方、欧米系船はイラン革命防衛隊との「二国間調整」を要する二極化構造が定着するとの観測も提示。Brent原油は5月単月▲17〜19%と2020年5月以来の下げを記録したものの、原油バックワーデーション(期近高)が拡大基調にあり、「リスクプレミアム剥落」を織り込み過ぎている可能性があると指摘されています。

ウクライナ軍がロシア・タガンログ港のオイルタンカーをドローン攻撃 — 燃料タンクと管理棟が炎上、黒海・アゾフ海ルートの輸送に新たな打撃

ウクライナ軍は5月30日未明、ロシア南部ロストフ州タガンログ港にドローン攻撃を実施し、停泊中のオイルタンカー1隻、燃料タンク、港湾管理棟が炎上したとロシア側当局者(ユーリ・スルサル州知事)が確認しました。タガンログはアゾフ海西端の石油・穀物積み出し港で、欧米による海上制裁強化以降ロシアが「シャドーフリート」経由の原油輸出ハブとして活用してきた拠点です。中東向け軽油輸送ルートが攻撃を受けた格好で、停戦観測で軟化していたWTI原油の月曜寄り付きにジオプレミアム再注入要因となる可能性があります。米国は3月に「停泊中のロシア産原油・石油製品を対象とする30日間の制裁猶予」を一時発令していましたが、ホルムズ危機の沈静化に伴い、対露制裁の再強化が再浮上しています。並行してウクライナはクリミア半島と西部ロシア領内の石油インフラに対する打撃を継続しており、エネルギー戦線が「中東→東欧」に重心を移している点に留意が必要です。

米株5月総括 — Nasdaq+8%・S&P 500+5%・Dow+3%、S&P 500は9週続伸でDow初の51,000ドル超え、Dell+33%が月間ラリーをけん引

5月29日(金)の米国市場大引けで5月の月間成績が確定しました。Nasdaq総合が+8.0%、S&P 500が+5.0%、ダウ工業株30種が+3.0%といずれも年初来最大の月間上昇率を記録し、AI関連を中心とするテック株主導のラリーが鮮明化しました。S&P 500は週ベースで9週連続上昇となり、2023年以来の長期連騰。29日終値はDow 51,032ドル(▲史上初の51,000ドル超え)、S&P 500 7,580、Nasdaq 26,973といずれも史上最高値更新となりました。デル・テクノロジーズはAIサーバー受注残513億ドルとFY27ガイダンス上方修正を受け+33%(過去最高の日次上昇率)で引け、年初来+234%。Snowflake・HPE・SMCI・AMDなどAIインフラ周辺も連れ高となり、PHLX半導体指数は年初来+70%超に到達しました。一方、米10年債利回りは4.45%へ低下、ドルインデックスは月間▲0.4%、Brent原油は▲17〜19%と「リスクオン+ジオプレミアム剥落」の典型的なパターンが継続。来週は5月雇用統計(6/6)と米PMI改定値が焦点です。

ビットコインETFが6日連続流出累計15.5億ドル、イーサリアムETFは10日連続流出 — 暗号資産は「リスクオン蚊帳の外」が鮮明、5月のXRP ETFは反対に資金流入

米国の現物ビットコインETFは5月29日まで6営業日連続で純流出となり、累計流出額は約15.5億ドルに達しました。29日単独ではBlackRock IBITが▲68.9百万ドル、Fidelity FBTCが▲36.3百万ドル流出。一方、現物イーサリアムETFは5月18日から10営業日連続の流出となり、週間流出は2.16億ドルに上ります。BTC現物価格は週末77,000〜78,000ドル台のレンジで推移、年初来高値(94,000ドル台)からは▲17%。背景には米10年債利回りが4.5%前後で高止まりしていることと、地政学・関税不確実性で機関投資家のリスク資産配分が株式・AIに集中している構図があります。対照的に新規上場のXRP関連ETFは週間で純流入を維持し、Solana・XRPなど代替L1ETFが資金流入を吸い上げています。Anthropic評価額9,650億ドル更新の翌週でもAI株とは別物として暗号資産の選別売りが進行している点は、6月の機関配分見直しに向けて注視が必要です。

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