経済ニュースダイジェスト

2026/06/15(月)12:00 JST  |  号ID: 2026-06-15-1203

月曜昼の号をお届けします。けさの号で「土壇場で雲行きが怪しい」とお伝えした米・イラン和平合意は、その後の続報で局面が大きく前進しました。トランプ米大統領が合意の「完成」を宣言し、米海軍によるホルムズ海峡の封鎖解除を指示、署名式は今週金曜(19日)にスイスで行う段取りが固まりつつあります。本号は、(1)和平合意「完成」の続報、(2)日銀会合初日を迎えた東京市場と円相場、(3)封鎖解除で需給正常化に向かう原油、(4)FOMCを前にした金、(5)減速が続く中国経済、の5本でお伝えします。

米イラン和平、トランプ氏が「合意は完成」と宣言 — ホルムズ封鎖解除を指示、署名は19日スイスで、レバノン含む全戦線で戦闘終結へ

週末の軍事的応酬で先行き不透明とされた米・イラン和平合意は、その後の続報で一気に前進しました。トランプ大統領は14日、自身のSNSで「イラン・イスラム共和国との合意はいまや完成した」と表明し、米海軍によるホルムズ海峡の封鎖を解除するよう指示したと報じられています。署名式は今週金曜にあたる19日に、スイスで行われる見通しです(仲介役のパキスタン・シャバズ首相が言及)。両者は、レバノンを含む全戦線での軍事行動を即時かつ恒久的に停止すると宣言したとされ、ホルムズ海峡の商業船航行も再開に向かいます。合意の柱は、海峡の即時再開、米軍による港湾封鎖の解除、約250億ドルの凍結資産解放、石油制裁の免除、60日間の停戦延長で、核問題は署名後の協議に先送りされる建付けです。一方、けさの号でお伝えしたとおり週末にはベイルート空爆とイランのミサイル発射という応酬があったばかりで、イスラエル政府は今回の合意内容を「深い失望」と受け止めていると伝えられ、署名までの数日間に再び緊張が走るリスクは残ります。それでも、4月以来くすぶってきた中東の供給途絶懸念が大きく後退する節目であることは確かです。

東京市場、日銀会合初日 — 株価は史上最高値圏、ドル円は160円台前半で円安続く、JGB金利は2.6%台

日銀の金融政策決定会合が始まった東京市場は、株高・円安・金利上昇という構図が続いています。日経平均は6月3日に初の6万8,000円台(終値6万8,402円)をつけ、年初来では約33%高と記録的な水準で推移しています。原動力は、AI関連投資が日本の半導体製造装置(東京エレクトロン、アドバンテストなど)に波及していることに加え、1ドル=160円近辺の円安が輸出企業の採算を押し上げていることです。為替は本号時点でドル円が160円台前半(一時160.57円とおよそ4月以来の円安水準)で推移し、円の上値は重い展開です。明日16日には政策金利を0.75%から1.0%へ約31年ぶりに引き上げるとの観測が大勢で、追加利上げ期待を背景に長期金利(10年物国債利回り)は2.6%台へ上昇しています。利上げが円高への転換点になるか、それとも「円キャリー」継続で円安が居座るかが、当面の最大の焦点です。なお植田総裁は入院のため会合を欠席し、会見は内田副総裁が代行する見込みです。

原油、封鎖解除で需給正常化へ — ブレントは1バレル85ドル前後、3月初旬以来の安値圏、供給回復で一段安の警戒も

米海軍によるホルムズ海峡の封鎖解除指示と海峡再開の見通しを受け、原油市場では地政学プレミアムの剥落が一段と進んでいます。北海ブレントは1バレル85ドル前後、米WTIも14日に前日比約3.2%安の84ドル台へ下落し、いずれも3月初旬以来の安値圏となりました。2026年の高値からは2割超の調整です。世界の海上輸送原油の約2割が通るホルムズ海峡の通航が正常化すれば、これまで価格に上乗せされてきた供給途絶リスクが一段とはがれ、需給は緩和方向に向かいます。市場では、封鎖解除と機雷除去・タンカー運航の再開が実際に進めば、原油はさらに水準を切り下げるとの見方が出ています。一方で、署名式(19日)の完了までは海上封鎖が部分的に維持されるとの指摘や、イスラエルの出方次第で再び緊張が走る可能性もあり、供給回復が円滑に進むかはなお見極めが必要です。エネルギー安は世界のインフレ鈍化要因となる半面、産油国の収益や関連株には逆風となります。

金、FOMCを前に4,100ドル台で神経質 — 和平進展で逃避需要は後退も、根強いインフレと高金利が綱引き

金(ゴールド)は1トロイオンス4,100ドル台半ばで神経質な値動きとなっています。中東和平の進展でリスク選好が強まり、安全資産としての逃避需要は後退しやすい局面です。一方で、米国では5月のCPI・PPIがいずれも高止まりし、利下げ観測が後退するなかで実質金利の高止まりが続いており、利息を生まない金には逆風が残ります。今週は16〜17日にウォーシュ新議長の初采配となるFOMCを控え、同時公表されるドットプロット次第で金利・ドル・金が大きく振れる可能性があります。中長期では、各国中央銀行の継続的な金購入や地政学・財政の不確実性が下支え材料となり、主要金融機関の2026年末予想はゴールドマンが5,400ドル、JPモルガンが約6,000ドル、UBSが5,500ドルなど、現値を大きく上回る水準が並びます。和平による目先の調整圧力と、構造的な押し上げ要因のせめぎ合いが続きそうです。

中国経済、5月も内需に弱さ — 小売は前年比マイナス圏続く、生産は持ち直し、対イラン戦争の影響を消化

中国の景気回復は依然としてもたつき気味です。発表された5月の主要経済指標によると、小売売上高は前年同月比でマイナス圏(市場予想を小幅上回るも前年割れ)が続き、内需の弱さが鮮明となりました。一方、鉱工業生産は前年同月比でプラスへ持ち直し、固定資産投資も前年比6%台と底堅さを示すなど、生産・投資面では持ち直しの兆しもみられます。全国の調査失業率は5.9%でした。中東の戦争に伴う原油高や輸出環境の不確実性が重しとなってきましたが、和平進展でエネルギーコストの上振れ懸念が和らげば、製造業には追い風となる可能性があります。世界第2の経済大国である中国の内需の弱さは、コモディティ需要や日本を含むアジアの輸出企業にも影響します。米中の追加関税を巡る駆け引き(期限は7月24日)も引き続き重要な変動要因であり、今週のG7エビアン・サミットでの対中通商論議も注目されます。

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