経済ニュースダイジェスト

2026/06/18(木)06:00 JST  |  号ID: 2026-06-18-0603

木曜朝の号をお届けします。日本時間18日未明に結果が判明したFOMC(米連邦公開市場委員会)が、今号最大のニュースです。ウォーシュ新議長の初采配は事前の通り政策金利の据え置きとなりましたが、同時公表のドットプロット(金利見通し)で半数の委員が年内の利上げを示すタカ派的な内容となり、市場は一転して年内の利上げを織り込みました。これを受けて米株は主要3指数がそろって下落しています。本号は、(1)据え置きもタカ派ドットのFOMC、(2)利上げ観測台頭で下落した米株、(3)ドル高・円安で介入警戒が強まる円相場と東京市場、(4)安値圏が続く原油、(5)19日に迫る米イラン署名式、(6)金利上昇が重しの金・銀、の6本でお伝えします。

FOMCは据え置き、しかしドットプロットはタカ派転換 — 18人中9人が年内利上げを示唆、市場は利上げを織り込む

ウォーシュ新議長にとって初采配となったFOMCは、日本時間18日未明、市場の予想通り政策金利を3.50〜3.75%で据え置きました。決定は全会一致(12対0)で、4会合連続の据え置きとなります。市場を動かしたのは、同時に公表された四半期経済見通し(SEP)とドットプロットです。経済見通しを提出した18人の委員のうち9人が年内の利上げを見込み、うち6人は0.25%の利上げ2回を想定するというタカ派的な内容となりました。これを受けて市場では、年内に少なくとも1回の0.25%利上げがほぼ完全に織り込まれました。物価見通しも引き上げられ、年末時点のPCE(個人消費支出)インフレ率の予想は3月時点の2.7%から3.6%へ上方修正された一方、実質GDP成長率は2.4%から2.2%へ、失業率は4.4%から4.3%へと修正されました。中東情勢に伴うエネルギー高がインフレ高止まりの背景にあります。ウォーシュ議長は記者会見で、声明文を従来より大幅に短くしフォワードガイダンス(先行きの指針)を取りやめたと説明し、「本日の会合で利上げが必要だと感じた委員はいなかった」と述べました。議長自身は個別のドット提出を見送ったとされ、緩和バイアスからの明確な転換が確認された形です。

米株は3指数そろって下落 — 年内利上げ観測の台頭でナスダックが1.3%安、最高値圏から反落

17日(水)の米株式市場は、FOMCのタカ派的なドットプロットを嫌気し、主要3指数がそろって下落して取引を終えました。ハイテク比率の高いナスダック総合が約1.3%安、S&P500が約1.2%安、ダウ平均が約1.0%安となり、中小型株で構成するラッセル2000も約0.7%下落しました。直前まで連日で最高値を更新してきた米株にとって、年内の利上げが現実味を帯びたことは明確な逆風となりました。とりわけ、18人の委員のうち9人が年内利上げを見込んだという見通しは、トレーダーに年内0.25%利上げをほぼ完全に織り込ませ、金利上昇に敏感なハイテク・グロース株の売りを誘いました。ウォーシュ議長が「本日利上げを求めた委員はいなかった」と説明したものの、先行きの利上げバイアスを打ち消すには至らず、投資家の警戒は和らぎませんでした。据え置き自体は想定内でしたが、見通しのタカ派化が相場の重しとなった一日でした。

ドル高・円安で介入警戒が強まる — ドル円は160円台、東京市場は米株安受け上値の重い展開へ

タカ派的なFOMCを受け、為替市場ではドルが主要通貨に対して底堅く推移し、ドル円は1ドル=160円台で高止まりが続いています。日銀が約31年ぶりとなる1.0%への利上げに踏み切ったにもかかわらず、米国との金利差の大きさが意識され、円キャリートレードを支える構図は変わっていません。年内の米利上げ観測が浮上したことで内外金利差の縮小期待が後退し、円の上値は一段と重くなっています。160円台は政府・日銀による為替介入を警戒する水準であり、当局の動向に神経質な地合いが続いています。株式市場では、前日17日の東京市場で日経平均株価が5営業日続伸し、終値で6万9,902円と3日連続の史上最高値を更新、取引時間中には一時7万円台に乗せていました。もっとも、本日18日の東京市場は、タカ派FOMCと米株安を受けて寄り付きから上値の重い展開が予想されます。日経平均先物は前日の現物終値を下回る水準で推移しており、連日の最高値更新が一服する可能性があります。

原油は安値圏が続く — ブレント80ドル割れ、ホルムズ再開とイラン輸出再開観測で需給緩和の見方

原油相場は、3カ月ぶりの安値圏で推移しています。北海ブレント原油は1バレル80ドルを割り込み、米国産WTI原油は70ドル台半ばで取引されました。米イランの和平合意を受けてイランのタンカーが出荷を再開し始めたことや、ホルムズ海峡の再開で世界の原油供給が正常化に向かうとの観測が、引き続き相場の重しとなっています。19日(金)のスイスでの署名後にはイランの原油輸出が本格的に再開される見通しで、供給増加への警戒が需給緩和の見方につながっています。タカ派FOMCに伴うドル高は、ドル建てで取引される原油にとって追加的な下押し要因にもなり得ます。一方で、機雷の除去や保険・運航体制の回復には数カ月を要するとの指摘もあり、海運各社は海峡正常化の持続性をなお慎重に見ています。原油安はインフレ圧力の後退を通じて経済全般には恩恵となる半面、エネルギー関連企業や産油国の収益には逆風となります。

米イラン署名式は19日スイスで — ホルムズ再開と60日間の追加協議が柱、欧州主要国も歓迎

米国とイランの和平合意の署名式は、19日(金)にスイスで行われる見通しです。両国はまず現在の停戦を60日間延長し、その間に戦争の恒久的な終結を目指す協議を続ける枠組みとされています。合意の柱は、双方が互いに敷いてきたホルムズ海峡の封鎖を解除し、湾岸からの原油輸送を再開させることです。イランのガリバビ外務次官は国営テレビで合意を確認した一方、「署名されるまで履行は始めない」と述べ、正式調印を実施の条件としています。覚書では核問題など複数の重要論点が積み残されており、イランの核開発の扱いは次回以降の交渉に先送りされました。英国・フランス・ドイツ・イタリアの欧州主要国も合意を歓迎し、ホルムズ海峡の早期再開と、レバノンの主権・安定への支持を改めて表明しています。地政学リスクの後退は原油安を通じて世界経済を支える材料ですが、核問題の先送りや署名完了までの不確実性は残されており、引き続き注視が必要です。

金・銀は金利上昇が重し — 金は4,330ドル台で一進一退、タカ派FOMCで実質金利の上昇を警戒

貴金属は、FOMCのタカ派的な結果を受けて上値の重い展開となりました。金(ゴールド)は1トロイオンス4,330ドル台で一進一退の値動きが続いています。年内利上げを示唆するドットプロットを受けて米長期金利やドルが底堅く推移したことは、利息を生まない金にとって逆風となります。実質金利の上昇は金の保有コストを高めるためです。銀は1オンス70ドル前後から65ドル近辺へ水準を切り下げており、金に対して相対的に弱含む展開が続いています。一方で、中東和平に伴う原油安はインフレ圧力を和らげる方向に働き、各国中央銀行による継続的な金購入や、地政学・財政面の不確実性が引き続き中長期の下支え要因となっています。FOMCという最大のイベントを通過し、貴金属相場は当面、地政学などの見出しよりも金利・ドルといったファンダメンタルズを軸とした値動きへ移っていくとの見方が出ています。

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