米国市場は週末休場、東京・上海も土曜で取引なしのため、本号は週末の確報・観測ニュースを中心に5本に絞ってお届けします。
財務省、4-5月の円買い介入を11兆7,349億円と公表 — 月次ベースで過去最大、円安歯止め効果には懐疑論
財務省は5月29日夕、2026年4月28日から5月27日までの為替介入実績を公表し、円買い・ドル売り介入の総額は11兆7,349億円に達しました。これは2024年4-5月の同時期介入額9兆7,885億円を約2兆円上回り、月次ベースとしては過去最大規模となります。介入の大半は大型連休中(5月1-6日)に集中し、米イラン軍事衝突を契機とした「有事のドル買い」でドル円が一時1ドル=162円台まで急騰した局面で実施されました。ただし、ドル円相場は介入後も米PCEコア+3.3%や日本のCPI鈍化(東京都区部5月+1.3%)を受けて再び円安方向に傾き、5月28日には一時159円60銭台と約1カ月ぶりの円安ドル高水準を回復。市場では「規模の割に効果は限定的」との見方が支配的で、来週の日銀植田総裁発言と6月17-18日の金融政策決定会合に向け、政策金利の引き上げ判断にも焦点が移ります。
出典: 日本経済新聞 / Bloomberg
ECBが6月11日に利上げの公算 — 仏HICP+2.8%・独コア+2.5%でユーロ圏インフレ再加速、Fedとの乖離鮮明に
ユーロ圏主要4カ国の5月消費者物価指数(HICP速報値)が出揃い、フランスが前年比+2.8%(前月+2.4%から加速、1年以上ぶりの高水準)、ドイツが+2.6%(+2.9%から減速も、コアは+2.3%→+2.5%へ上昇)、スペイン+2.7%、イタリア+2.4%と総じてECB目標2%を上回りました。中東情勢を受けた天然ガス・電力料金の高止まりがヘッドラインを押し上げる一方、サービス価格も粘着的で基調インフレが反転上昇していることが鮮明になっています。これを受け短期金利市場では6月11日のECB理事会で25bpの利上げが完全に織り込まれ、9月までに追加で25bp、年内3回目の利上げ確率も92%に上昇しました。Fedが6月の利下げ確率を30%台へ落としているのとは対照的で、ユーロ/ドルは1.1659に押し上げられて推移。日米欧の金融政策の方向感がそれぞれ異なる「3極化」が、為替・債券市場のボラティリティ要因として意識されます。
出典: Euronews Business / Bloomberg
OPEC+ 6月7日に主要8カ国会合 — 5月決定の日量18.8万バレル増産に続く判断が焦点、Brent月間▲17%下落で各国の温度差
OPEC+の主要産油8カ国(サウジ、ロシア、イラク、クウェート、カザフ、アルジェリア、オマーンに加え新たに加わる調整国)は6月7日にオンライン形式で閣僚会合を開催し、7月以降の生産方針を協議します。5月3日の前回会合では6月から日量18.8万バレルの増産を決定済みで、サウジ・ロシアは各62,000バレル、イラクは26,000バレル分の積み増しが予定されています。Brent原油が5月単月で約17%下落し91.37ドル水準まで剥落(コロナ禍の2020年5月以来の悪い月間騰落率)したことで、サウジは増産ペース堅持の姿勢ながら、ロシアやアルジェリアなど財政均衡油価が高い国は減産延長を望む声が強く、温度差が表面化しています。米イラン停戦MOUが順調にホルムズ海峡正常化につながれば供給は急回復するため、需給バランス維持を狙うサウジは「シェア奪還」優先の姿勢を強める可能性。エネルギー株、商社株、各国のインフレ見通しの双方に直接波及するため、来週の最大の市場イベントとなります。
出典: Trading Economics / OPEC / CNBC
米イラン60日停戦MOU、31日にも発表観測 — トランプ大統領が最終判断、パキスタンが仲介役で外交折衝が大詰め
BloombergとAxiosは5月29日、米国とイランが暫定合意した60日間の停戦延長覚書(MOU)について、最短で日本時間31日(日)にも公式発表される可能性があると報じました。MOUにはホルムズ海峡の安全航行回復、イラン産原油の輸出再開、60日間のイラン核プログラム本格交渉開始が含まれる見込みです。トランプ大統領は29日のホワイトハウスでの閣議で「最終判断はあと数日のうちに下す」と発言し、ヴァンス副大統領・ヘグセス国防長官らと最終調整中。並行してパキスタンのダール外相が28-29日にワシントンを訪問しルビオ国務長官と会談、テヘランへの間接メッセージ伝達役を担っています。仮に合意成立となれば、Brent原油は週明け80ドル台割れ・金スポットは4,400ドル台への調整圧力が想定される一方、合意決裂時にはホルムズ封鎖再燃で原油110ドル超のシナリオも残存。週末の地政学リスクとして注意が必要です。
出典: Bloomberg / Axios
AMDが年初来+114%でNvidia(+18%)を引き離す — Meta・OpenAIとのMI400契約観測でAIチップ寡占構造に変化、PHLX半導体指数+70%
5月29日のNY終値でAMDは513.29ドル(時価総額8,370億ドル)まで上昇し、年初来騰落率は+114%に達しました。同期間のNvidia(+18%)を大きく引き離しており、フィラデルフィア半導体指数(SOX)も+70%と過去最高水準で月末を迎えています。AMDの躍進は、MetaがMI400ベースのAIサーバーを2026年下期から本格導入する社内方針を固めたことや、OpenAIが推論用GPUとしてAMDインスティンクトMIシリーズを採用する複数年契約を5月中旬に締結した観測が背景。Q1 FY26決算では売上高102.5億ドル(+38%YoY)、調整EPS 1.37ドル(+43%)と市場予想を大幅に上回りました。Nvidiaが推定81%のAIチップ市場シェアを維持する一方、これまで「Nvidia一強」だったAIインフラのサプライチェーンに分散化の動きが拡がっており、HPE・Dell・Supermicroといったサーバー組み立てメーカーのAMD向けエコシステム構築も加速しています。投資家にとっては、Nvidia一辺倒からAMD・Broadcom・Marvellなど周辺銘柄への利益移行が次の収益機会となる可能性が指摘されています。
出典: 24/7 Wall St. / CNBC