火曜朝の号をお届けします。前号で「先物高」とお伝えした米株は、月曜の現物取引を終えて主要3指数がそろって最高値を更新しました。米・イラン和平の「完成」宣言とスペースX上場2日目の急騰、半導体株高が重なり、とりわけハイテク中心のナスダックは約3%高と急伸しています。日曜夜に懸念されたイランの一斉ミサイル攻撃が結局見送られ、緊張が一段と和らいだことも追い風です。本号は、(1)最高値を更新した米株、(2)3カ月ぶり安値で引けた原油、(3)本日正午に結果が出る日銀会合、(4)本日開幕のFOMC、(5)発生せずに済んだイランの報復と19日署名、(6)続伸する金・銀、の6本でお伝えします。日本時間の本日は、正午前後の日銀決定と内田副総裁の会見が最大の焦点です。
米株、3指数そろって最高値 — ナスダックが約3%高で2万6,600台、S&P500・ダウも史上最高値を更新
月曜(15日)の米国株式市場は、前号でお伝えした寄り前の先物高がそのまま現物の上昇につながり、主要3指数がそろって史上最高値を更新して引けました。ハイテク中心のナスダック総合指数は約3%高の2万6,600台へ急伸し、S&P500も約1.6〜1.9%高の7,550台、ダウ工業株30種も約0.9〜1.4%高の5万1,600〜5万1,900ドル台へ水準を切り上げました。トランプ大統領による米・イラン合意の「完成」宣言で地政学リスクが後退したことに加え、12日に上場したスペースXが2日目も買いを集め、エヌビディアなど半導体・AI関連が物色されたことが相場を押し上げました。原油安によるインフレ鈍化と企業採算の改善期待も追い風です。ただし、本日16日からはウォーシュ新議長の初采配となるFOMCが始まり、5月のCPI・PPIが高止まりするなかで年内利下げ観測は後退しています。19日(金)はジューンティーンスで休場となる短縮週でもあり、高値圏での値固まりが続くかは中銀イベント次第です。
出典: Yahoo Finance / TheStreet
原油、3カ月ぶり安値で引け — ブレント83〜84ドル、WTIは一時81ドル割れ、ホルムズ封鎖解除で供給正常化を織り込む
原油は月曜のアジア時間に大きく水準を切り下げ、その後も安値圏で推移しました。北海ブレントは一時前日比約4%安の1バレル83ドル台、米WTIも約4.6%安の80ドル台へ下落し、いずれも3月初旬以来およそ3カ月ぶりの安値圏となりました。2026年の高値からは2割超の調整です。合意の「完成」とともにトランプ氏が米海軍によるホルムズ海峡の封鎖解除を指示し、署名後には海峡が無料で通航再開される見通しとなったことで、これまで価格に上乗せされてきた供給途絶プレミアムが急速にはがれています。世界の海上輸送原油の約2割が通る要衝の正常化は、供給懸念の後退を通じて一段の値下がり余地につながります。もっとも、機雷除去やタンカーの保険・運航体制の回復には数カ月を要するとの見方が大勢で、19日の署名完了までは部分的な緊張も残ります。エネルギー安は世界のインフレ鈍化要因となる半面、産油国の収益やエネルギー関連株には逆風です。
出典: OilPrice / Fortune
日銀、本日正午前後に決定 — 0.75→1.0%へ約31年ぶり利上げが大勢、焦点は内田副総裁の会見トーン
日銀は15日からの金融政策決定会合の結果を、本日16日の正午前後に公表します。政策金利を現行の0.75%から1.0%へ0.25%引き上げ、1995年以来およそ31年ぶりの高水準とするとの観測が大勢で、ロイター調査でもエコノミストの9割超が月内の利上げを見込んでいます。中東発のエネルギー高や円安による輸入インフレ、人手不足を背景とした賃金・物価の上振れが利上げを後押しした形です。焦点は利上げそのものより先行きで、市場は年内のさらなる追加利上げと、最終到達点として2%前後を視野に入れ始めています。週明けは和平合意を受けたドル全面安で、160円台前半で上値の重かったドル円もやや円高方向に振れやすい地合いです。利上げが円高への転換点となれば、低金利の円で調達して高利回り資産に投じる「円キャリートレード」の巻き戻しを通じて世界の流動性に波及する可能性があります。植田総裁は入院のため会合を欠席し、会見は内田眞一副総裁が代行する見込みで、そのトーンが為替・金利の振れ幅を左右します。
出典: Bloomberg / Investing.com
FOMCも本日開幕 — ウォーシュ新議長の初采配、据え置き濃厚もドットプロットと初会見に注目
米連邦公開市場委員会(FOMC)も本日16日(米東部時間)から2日間の日程で始まり、結果は日本時間18日未明に公表されます。5月に就任したウォーシュ新議長にとって初の采配で、政策金利は3.50〜3.75%で据え置きが市場でほぼ確実視されています。同時に公表される経済見通し(SEP)とドットプロット(金利見通し)で、これまでの緩和バイアスがどの程度中立スタンスへ転換するかが最大の焦点です。5月のCPI・PPIが高止まりするなかで年内利下げ観測は事実上消滅し、初回利下げが2027年へ後ずれするとの見方も浮上しています。フォワードガイダンスに懐疑的とされる新議長の枠組み運営や初の記者会見のトーン次第では、金利・ドル・株式が大きく振れる可能性があります。日米の中銀イベントが16〜18日に集中するだけに、当面は為替・金利のボラティリティが高まりやすい点に注意が必要です。
出典: Chase / TheStreet
イランの報復攻撃は見送り — 日曜夜に身構えた一斉射撃は発生せず、ネタニヤフ氏は合意批判を避ける、署名は19日
和平の最大の波乱要因とされたイスラエル・イラン間の応酬は、週末の緊迫からいったん落ち着きを取り戻しました。イスラエル軍は日曜(14日)夜にイランからのミサイル一斉射撃に備えて警戒態勢を敷きましたが、攻撃は結局行われず、その数時間後に米・イランが恒久的な停戦合意の署名へ向かうとの報が伝えられました。合意ではレバノンを含む全戦線での軍事行動を即時かつ恒久的に停止するとされ、署名式は19日(金)にスイスで行われる段取りです。ネタニヤフ・イスラエル首相は今回の合意への直接的な批判を避け、「イスラエルは交渉の当事者ではない」としつつ「戦争の主目的は達成された」と述べ、トランプ氏とは「イランに核を持たせない点で完全に一致している」と強調しました。日曜夜の攻撃見送りは、市場が織り込み始めた「中東リスクの正常化」をひとまず裏付けるものですが、署名完了までの数日間に再び砲火が交われば地政学プレミアムが再注入されるリスクは残ります。
出典: NBC News / The Times of Israel
金・銀は続伸、金は4,330ドル台へ3日続伸 — ドル安が押し上げ、銀は1オンス70ドル台を回復
和平でリスク選好が強まる局面ながら、貴金属は買いが続いています。金(ゴールド)は月曜に前日比約2.8%高の1トロイオンス4,330ドル台へ上昇し、3営業日続伸となりました。原油安によるインフレ・利上げ警戒の後退と、合意を受けたドル全面安が、利息を生まない金の追い風となっています。銀は値動きがさらに大きく、前週末の67ドル台から1オンス70ドル台へ水準を切り上げました。各国中央銀行による継続的な金購入や、地政学・財政の不確実性を見込んだ中長期の押し上げ期待も支えです。本日からのFOMCでは政策金利の据え置きがほぼ確実視される一方、ドットプロットと新議長の会見トーン次第で、ドル・金利・貴金属が大きく振れる可能性があります。目先の和平に伴う調整圧力よりも、ドル安と構造的な実需が優勢となっているのが現状です。
出典: Trading Economics / Yahoo Finance