おはようございます。前日に半導体ショックで急落した市場は、いったん落ち着きを取り戻しつつあります。米国市場は8日、ハイテク・半導体に買い戻しが入って反発して引けました。中東情勢もイランが対イスラエルの軍事作戦終了を表明し、急騰していた原油は反落して終えています。本号では、米株の終値、原油の落ち着きと中国要因、11日のECB理事会、日本のGDP下方修正、そして10日の米CPIを中心に5本立てでお届けします。新規の重要材料はやや乏しく、前日からの流れの確認が中心です。
米株は反発で取引終了 — ナスダック0.86%高、ダウは小幅安で「半導体への回帰」鮮明
8日の米国株式市場は、前週末の急落から反発して取引を終えました。S&P500種株価指数は0.30%高の7,405.73、ナスダック総合指数は0.86%高の2万5,929.66と、いずれもプラス圏で引けています。一方でダウ工業株30種平均は0.16%安の5万0,786.01と小幅に下落し、主要指数の方向感が分かれました。前週末に売り込まれた半導体・AI関連に買い戻しが入った一方、景気敏感の旧来型銘柄が乏しい動きとなったことで、資金が再びハイテクへ回帰する「ローテーション」の構図がうかがえます。個別では、6月22日付でS&P500種への組み入れが報じられたマーベル・テクノロジーが約10%高となりました。同社株は年初来で約270%上昇しており、「次のエヌビディアか」との期待と過熱警戒が交錯しています。前週末の急落が一過性の「期待値リセット」にとどまるのか、東京市場の戻りにもつながるかが本日の焦点です。
出典: TheStreet / CNBC
原油は急騰後に反落して引け — イランが「対イスラエル作戦の終了」を表明
中東情勢の緊張で一時急騰した原油は、8日のうちに上げ幅を縮めて取引を終えました。北海ブレント原油はミサイル応酬を受けて日中に一時4.9%高の1バレル97.67ドルまで上昇しましたが、終値は前日比1.25%高の94.25ドルに落ち着きました。米WTIも同0.84%高の91.30ドルで引けています。イランが対イスラエルの軍事作戦を終えたと表明し、トランプ米大統領も「新たな停戦合意が近い」と述べたことで、ペルシャ湾経由の原油輸出が止まるとの過度な警戒が和らいだためです。エネルギー価格が1バレル100ドルを大きく超えずに済んでいる背景には、中国の存在も大きく働いています。中国は原油輸入を2月の日量1,170万バレルから足元では600万バレル台へ急減させ、約10億バレルとされる在庫を取り崩して国内需要をまかなっています。ただしアナリストは「中国が在庫の積み増しに転じれば、戦争による価格上昇圧力が改めて市場を直撃しかねない」と警告しており、油価の落ち着きは盤石ではありません。
出典: CNBC / CNBC
11日のECB理事会は25bp利上げ観測 — イラン・ショック後初のスタッフ見通しに注目
欧州中央銀行(ECB)は日本時間11日深夜に理事会の結果を公表します。市場では政策金利(中銀預金金利)を0.25%引き上げて2.25%とする見方が大勢で、織り込み度合いは約9割(一部指標では99%)に達しています。背景には、中東情勢に絡むエネルギー高でユーロ圏の4月インフレ率が3%まで上昇したことがあります。市場は9月までに2回目、年末までに3回目の利上げも視野に入れ始めています。今回はイラン情勢の動揺を反映した初めてのECBスタッフ経済見通しが示される点も重要で、インフレ・成長見通しの上方修正があればユーロ高・欧州金利上昇につながり得ます。逆に、地政学リスクの後退でエネルギー価格が一段と下がれば、利上げ観測が揺らぐ可能性も残ります。米欧で金融引き締め方向の思惑が重なれば、世界的な金利上昇が株式市場の重しとなる構図が続きます。
出典: Trading Economics / European Central Bank
日本の1〜3月期GDPは年率1.8%へ下方修正 — 設備投資の弱さが重し、経常黒字は15カ月連続
内閣府が公表した1〜3月期の実質国内総生産(GDP)改定値は、年率換算で前期比1.8%増となり、速報値から下方修正されました。下振れの主因は設備投資の弱さで、とりわけソフトウエアや生産用機械への支出が想定以上に低調だったことが成長率を押し下げました。半導体・AI関連の株高が続く一方で、企業の設備投資が実体経済を力強く牽引する段階には至っていないことを示す内容です。一方、財務省が発表した4月の国際収支では、経常収支の黒字額が前年同月比64.9%増の3兆9,078億円となり、15カ月連続の黒字を確保しました。円安を背景とした第一次所得収支の拡大が黒字を支えています。投資家にとっては、堅調な対外収支と弱めの国内設備投資という二面性をどう評価するかが課題で、16〜17日の日銀金融政策決定会合に向けた地合いを左右しそうです。
出典: News On Japan / Trading Economics
米長期金利は高止まり — 最大の関門は10日発表の5月CPI
米長期金利は高止まりが続いています。10年債利回りは強い5月雇用統計を受けて4.5%台で推移しており、市場の関心は10日(水)に発表される5月の米消費者物価指数(CPI)に集まっています。直近の4月CPIは前年同月比3.8%と2023年5月以来の高さで、食品とエネルギーを除くコアも2.8%まで上昇しました。中東情勢に伴う原油高がインフレ高止まり観測を後押ししており、CPIが上振れすれば年内(12月)の追加利上げ確率(現在約7割)が一段と高まり、ドル高・金利高・株安の流れが再燃しかねません。逆に下振れれば過度な警戒の巻き戻しが反発材料となり得ます。なお6月16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、ウォーシュ新議長の下で政策金利(現行3.50〜3.75%)の据え置きが広く見込まれています。今週は10日の米CPI、11日のECB理事会と日米欧の重要イベントが連続するため、神経質な値動きが続きそうです。
出典: Trading Economics / CNBC