こんにちは。前日に半導体ショックで急落したアジア株は、米ハイテク株の反発を引き継いで戻りを試す展開となっています。東京の日経平均は9日午前に反発し、韓国KOSPIは寄り付き直後に約4%高まで急伸しました。為替はドル円が160円目前で介入警戒と円安圧力の綱引きが続いています。市場の関心は10日発表の米5月CPIに集まり、原油は中東情勢の小康で反落しています。本号は、東京・ソウルの株反発、ドル円、米CPIプレビュー、原油・中東の4テーマを軸に5本立てでお届けします。新規の重要材料は乏しく、前日からの流れの確認が中心です。
日経平均は9日午前に反発 — 一時1,000円超高、AI・半導体の買い戻し主導
9日午前の東京株式市場で、日経平均株価は反発しました。前日8日に終値で前週末比2,563円安(3.84%安)の6万4,024円まで急落した反動に加え、前日の米国市場でハイテク・半導体株が買い戻された流れを引き継ぎ、AI・半導体関連に資金が戻りました。寄り付き直後には一時1,000円を超える上昇となり、10時43分時点では前日比490円高の6万4,514円で推移しています。ソフトバンクグループやアドバンテスト、東京エレクトロンといった値がさの半導体関連株が指数を押し上げる構図です。もっとも上昇は一部の値がさ株に主導された面が強く、物色の裾野が広がるかは見極めが必要です。前日の急落が一過性の「期待値リセット」にとどまるのか、戻りの持続力が問われています。
出典: ロイター(Yahoo!ファイナンス) / Trading Economics
韓国KOSPIは寄り付き直後に約4%高 — サムスン・SKハイニックスが急反発、買いサイドカー発動
アジアの半導体株は東京以外でも戻りが目立ちました。韓国の総合株価指数(KOSPI)は9日の取引開始直後に約4%高まで急伸し、株価指数先物の急騰で買い注文を一時制限する「サイドカー」が発動しました。前日8日に8.29%安と急落し、サーキットブレーカー(売買一時中断)が発動した下げの約半値を取り戻した格好です。半導体の主力では、サムスン電子が4.57%高で1株30万ウォンを、SKハイニックスが6.91%高で同200万ウォンをそれぞれ回復しました。前日に大量売りを出した海外投資家に対し、9日は個人が約4,713億ウォンの買い越しで反発を主導したと伝わっています。前日の急落はAI半導体の需要懸念と米利上げ観測が重なったもので、ひとまず行き過ぎた売りの巻き戻しが進んでいます。
出典: Bloomingbit / CNBC
ドル円は160円目前で攻防 — 介入警戒と円安圧力の綱引き、「介入催促相場」の様相
外国為替市場で、ドル円は9日午前に159円60銭〜160円70銭のレンジで神経質に推移しています。前日は中東情勢の緊張を背景とした「有事のドル買い」で4月30日以来となる160円39銭前後まで上昇しましたが、政府・日銀による円買い介入への警戒が根強く、159円80銭台へ反落しました。市場は4月30日に付けた高値160円73銭を意識しつつ、節目を一気に上抜けるのは難しいとみており、当局の対応を試す「介入催促相場」の色合いが濃くなっています。これまでの累計11兆円超の円買い介入後も相場が介入前の水準へ逆戻りしている点について、「介入警戒がかえって短期勢の円売りを誘発している」との指摘も出ています。16〜17日の日銀金融政策決定会合での追加利上げ観測とあわせ、円安の持続力が焦点です。
出典: 外為どっとコム / 日本経済新聞
今夜の最大の関門は10日の米5月CPI — ナウキャストは4%台、原油高の波及が焦点
市場が今週最も警戒するのが、日本時間10日午後9時30分(米東部時間8時30分)に発表される5月の米消費者物価指数(CPI)です。直近4月のCPIは前年同月比3.8%と2023年5月以来の高さで、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアも2.8%まで上昇しました。クリーブランド連銀のナウキャスト(速報推計)は6月のCPIを4.05%近辺と一段の上振れを示唆しており、中東情勢に絡む原油高がどこまで物価に波及するかが焦点です。フィラデルフィア連銀の専門家調査でも10〜12月期のCPI見通しが3.5%へ引き上げられています。CPIが上振れすれば年内(12月)の追加利上げ確率(現在約7割)が一段と高まり、ドル高・金利高・株安の流れが再燃しかねません。逆に下振れれば、過度な警戒の巻き戻しが株式の反発材料となり得ます。6月16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、ウォーシュ新議長の下で政策金利(現行3.50〜3.75%)の据え置きが広く見込まれています。
出典: Trading Economics / Cleveland Fed
原油は中東情勢の小康で反落 — 紛争「100日目」も200ドル懸念は不発、中国が圧力弁に
原油相場は、中東情勢がいったん落ち着いたことで上げ幅を縮めています。北海ブレント原油は8日にイスラエルとイランのミサイル応酬を受けて一時4.9%高の1バレル97.67ドルまで急騰しましたが、イランが対イスラエルの軍事作戦終了を表明したことで94ドル台へ反落しました。2月28日の開戦から数えて紛争は「100日目」に入りましたが、世界の原油供給が約14%減少したにもかかわらず、一部で警戒されていた1バレル200ドル級の急騰は実現していません。先行きの見方は分かれており、JPモルガンは6月中のホルムズ海峡再開を基本シナリオに年内のブレントを約100ドルと予想する一方、フィッチは再開が7月末にずれ込めば9月以降は平均70ドルへ急落すると見込んでいます。価格が100ドルを大きく超えずに済んでいる背景には、中国が原油輸入を2月の日量1,170万バレルから5月末は900万バレル弱へ削減し、供給ショックを和らげる「圧力弁」として働いている事情があります。停戦の持続性と中国の在庫戦略が、次の値動きを左右しそうです。
出典: CNBC / CNBC