火曜昼の号をお届けします。最大の焦点だった日銀金融政策決定会合は、本日正午前後に結果が判明し、政策金利を0.75%から1.0%へ0.25%引き上げる利上げが決定しました。1.0%は1995年9月以来およそ31年ぶりの高水準で、昨年12月以来の追加利上げです。中東発のエネルギー高と円安による物価上振れへの対応を急いだ形で、国債買い入れの減額をいったん停止する措置も併せて決めました。本号は、(1)31年ぶり高水準への日銀利上げ、(2)利上げを受けた円相場と東京市場、(3)19日署名へ最終調整に入った米イラン和平、(4)本日開幕のFOMC、(5)FOMC前に小反落した金・銀、の5本でお伝えします。植田総裁が入院で欠席するなか、午後に予定される内田眞一副総裁の会見トーンが、当面の為替・金利の振れ幅を左右します。
日銀、政策金利を1.0%へ約31年ぶり利上げ — 0.75%から0.25%引き上げ、国債買い入れの減額も停止
日銀は本日16日の金融政策決定会合で、政策金利を現行の0.75%から1.0%へ0.25%引き上げることを決めました。1.0%の政策金利は1995年9月以来およそ31年ぶりの高水準で、昨年12月以来の追加利上げとなります。決定は9人の政策委員の賛成多数によるものです。中東情勢に伴う原油高や円安を背景とした輸入インフレ、人手不足下での賃金・物価の上振れに対応する必要があるとして、正常化のペースを一段進めました。あわせて、これまで段階的に進めてきた長期国債の買い入れ減額をいったん停止し、足元の購入規模を当面維持する方針も示しています。市場は利上げを9割超の確率で織り込んでいたため決定自体に大きなサプライズはなく、焦点は午後の会見で示される今後の利上げ道筋に移っています。市場では年内のさらなる追加利上げと、最終到達点として2%前後を視野に入れる見方も出始めています。
出典: 日本経済新聞 / 神奈川新聞
円相場・東京市場の反応 — 会合前は円買い先行、焦点は内田副総裁会見の「タカ派度」
午前の東京市場は、和平合意を受けたドル全面安と日銀会合への警戒から円買いが先行し、ドル円は週初の160円台前半から水準を切り上げる場面がありました。日経平均は、6月初旬に終値で初の6万8,000円台を付けた高値圏での値固まりが続いています。市場の関心は、利上げという「事実」よりも、植田総裁の入院で代行する内田眞一副総裁の会見トーンに集まっています。会合結果が想定どおりだったことから、発表後はいったん「出尽くし」の円売りが出るとの見方がある一方、追加利上げに前向きなタカ派姿勢が示されれば円安圧力が和らぐとの声もあります。民間調査機関には、ドル円が当面155円程度で推移し、大幅な円高にはなりにくいとの見立てもあります。利上げ局面では銀行・保険など金利上昇の恩恵を受ける業種が物色されやすい半面、高PERのハイテク・成長株は金利動向に振れやすい点に留意が必要です。
出典: みんかぶFX / 日本経済新聞
米イラン和平、19日署名へ最終調整 — 60日の停戦延長とホルムズ全面開放、英・トルコは歓迎、核問題は先送り
米国とイランの恒久的な停戦合意は、19日(金)にスイスで予定される署名式へ向けて最終調整に入りました。報道によると、両国が交わした覚書は既存の停戦を60日間延長し、署名と同時に米海軍によるホルムズ海峡の封鎖を解除して海峡を再開、レバノンでの関連する戦闘も停止する内容です。仲介役のカタール交渉団がテヘランに入り、文言の詰めを進めたと伝えられています。英国のスターマー首相は「戦争終結と地域の安定、ホルムズ海峡の再開に向けた極めて重要な前進」と評価し、トルコのエルドアン大統領も枠組み合意を歓迎しつつ、緊張を再燃させかねない挑発の自制を求めました。一方、イランの核濃縮の上限や高濃縮ウランの在庫、制裁解除、凍結資産の扱いといった核心的な論点は、署名後の継続協議に先送りされています。世界の海上輸送原油の約2割が通る要衝の正常化観測を背景に、原油は北海ブレントが1バレル83ドル台と3月初旬以来およそ3カ月ぶりの安値圏で推移しています。
出典: NBC News / Al Jazeera
FOMCも本日開幕 — ウォーシュ新議長の初采配、据え置き濃厚も「年内利上げ」観測くすぶる
米連邦公開市場委員会(FOMC)は本日16日(米東部時間)から2日間の日程で始まり、結果は日本時間18日未明に公表されます。5月に就任したウォーシュ新議長にとって初の会合で、政策金利は3.50〜3.75%での据え置きが約97%の確率で織り込まれています。もっとも市場は、年末までに少なくとも1回の利上げがある可能性を7割前後と見ており、中東発のエネルギー高がインフレを押し上げるなかで緩和方向の織り込みは大きく後退しています。5月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比4.2%と2023年4月以来の高さに達し、エネルギーが約23.5%上昇したことが全体を押し上げました。同時に公表される経済見通し(SEP)とドットプロットで、これまでの緩和バイアスがどの程度中立スタンスへ転換するかが最大の焦点です。フォワードガイダンスに懐疑的とされる新議長の枠組み運営と初の記者会見のトーン次第で、金利・ドル・株式が大きく振れる可能性があります。
出典: Mitrade / GoldSilver
金・銀はFOMC前に小反落 — 金は1トロイオンス4,300ドル前後、銀は65ドル近辺へ水準調整
続伸してきた貴金属は、FOMCを前にいったん上値を抑えられています。金(ゴールド)は1トロイオンス4,300ドル前後と、前日の4,330ドル台からわずかに水準を切り下げました。銀も70ドル台から65ドル近辺へ反落しています。中東和平の進展でリスク選好が強まり、逃避需要が後退しやすくなっていることに加え、本日からのFOMCを控えてポジション調整の売りが出ているとみられます。ただし、原油安によるインフレ・利上げ警戒の後退や合意を受けたドル安基調、各国中央銀行による継続的な金購入といった中長期の押し上げ要因は依然として残ります。FOMCでは政策金利の据え置きがほぼ確実視される一方、ドットプロットと新議長の会見トーン次第でドル・金利・貴金属が大きく振れる可能性があり、目先は神経質な値動きが続きやすい地合いです。
出典: GoldSilver / Trading Economics