こんばんは。週明けの市場は「朝の急落、夜の反転」とも言える1日となりました。アジアでは半導体ショックが直撃し、日経平均は前場に一時3,100円超下落、韓国KOSPIはサーキットブレーカーが発動。ところが日中にかけ、中東情勢で停戦崩壊が回避され、米国市場も反発して始まったことで、過度な悲観はいったん和らぎつつあります。本号では、東京市場の終値、米株の反発、中東の事態沈静化、そして米長期金利と金の動きを中心に5本立てでお伝えします。
日経平均は終値3.84%安の6万4,024円 — 朝の急落からはやや下げ渋り
東京株式市場は週明けに急落しました。日経平均株価の終値は前週末比2,563円52銭安の6万4,024円60銭(率にして3.84%安)となりました。前場には一時3,100円を超えて下落し、節目の6万4,000円を割り込む場面もありましたが、後場にかけては中東情勢の沈静化観測などを支えに下げ幅をやや縮めて引けました。先週末の米国市場で半導体株が急落(フィラデルフィア半導体指数=SOXが1週間で約10%安)し、ナスダック総合が4.2%安となった流れを引き継いだものです。値がさのAI・半導体関連が売りの中心で、東京エレクトロンやソフトバンクグループ、キオクシアホールディングスなど、最近の上昇をけん引してきた銘柄ほど利益確定売りに押されました。一方で金融や内需関連には相対的な底堅さもみられ、半導体一極集中で膨らんだ持ち高の巻き戻しがどこまで進むかが当面の焦点です。
出典: Nippon.com / Trading Economics
米株は反発スタート、半導体に買い戻し — マーベルはS&P500採用で約9%高
先週末に急落した米国株は、週明け8日は反発して取引が始まりました。S&P500種株価指数は寄り付き後におよそ0.75%上昇し、前週末まで売られていた半導体株にも買い戻しが入っています。注目はマーベル・テクノロジーで、株価は一時約9%(23.42ドル)高となりました。同社は6月22日付でS&P500種に組み入れられると発表されており(キャンベルなどと入れ替わり、フレックスとともに採用)、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが「将来の時価総額1兆ドル企業になり得る」と評したことも追い風です。市場全体では、シティグループがAIの業績寄与を理由にS&P500の年末目標を8,100へ引き上げるなど、強気の見方も健在です。先週末の急落は構造的な悪化ではなく「期待値のリセット」「ローテーション(資金移動)」だとする声も多く、当面はボラティリティの高い往来相場が見込まれます。
出典: 24/7 Wall St. / CNBC
イスラエルとイランが攻撃停止へ — トランプ氏の圧力、原油は急騰後に上値うかがう
一時は停戦崩壊が懸念された中東情勢は、夜にかけて事態沈静化の方向に動きました。イスラエルとイランは8日、ともに相手への攻撃を停止すると表明しました。トランプ米大統領がネタニヤフ首相に電話で「合意成立が近いので、これ以上の攻撃は控えてほしい」と自制を促したことが転機となったとされます。ただし攻撃停止の直前、イスラエルはイラン南西部のマフシャフル石油化学コンプレックスを空爆しており、これは4月8日の停戦以降で初めてのイラン国内エネルギー施設への攻撃でした。イスラエルはレバノンのヒズボラに対する攻勢は続ける構えで、イラン側も「レバノンでの攻撃が続けば再び応戦する」と警告しており、火種は残ります。供給不安から原油は急騰し、北海ブレント原油は一時4%超高の1バレル97ドル台(一部では100ドル台に乗せる場面)、米WTIも90ドル台前半まで上昇しました。エネルギー高はインフレ高止まり観測を通じ、株式や中銀の政策にも影を落とします。
出典: NPR / Reuters(Investing.com)
米10年債利回りが4.57%と約2週間ぶり高水準 — 10日のCPIが最大の関門
米長期金利は高止まりしています。10年債利回りは8日に4.57%近辺と約2週間ぶりの高水準を付けました。背景は先週末の強い5月雇用統計で、非農業部門就業者数は前月比+17.2万人と市場予想(約8.5万人)を大きく上回り、失業率は4.3%で横ばいでした。これを受け、年内(12月)の追加利上げ確率は従来の約5割から約7割へ上昇しています。中東情勢に伴う原油高もインフレ懸念を後押ししました。もっとも、6月16〜17日のFOMCでは新議長ウォーシュ氏の下、政策金利(現行3.50〜3.75%)の据え置きが広く見込まれています。市場の最大の関心は10日(水)に発表される5月の米消費者物価指数(CPI)です。インフレの高止まりが確認されれば利上げ観測が一段と強まり、株安・金利高・円安の流れが再燃しかねません。逆に下振れれば、過度な警戒の巻き戻しが反発材料になり得ます。
出典: Trading Economics / CNBC
金は地政学リスク下でも上値重く — 「有事のドル買い」が重し
通常、地政学リスクの高まりは安全資産とされる金の追い風となりますが、足元ではその構図が働きにくくなっています。金(現物)は1トロイオンス=4,330ドル台での推移にとどまり、中東情勢の緊迫にもかかわらず上値の重い展開です。要因は米長期金利の上昇とドル高で、利息を生まない金にとっては逆風となるうえ、投資家のリスク回避マネーが金ではなく米ドルに向かっているためです。リスクオフ局面で円も金も買われにくく、「ドル一強」となる逆説的な地合いが続いています。株式の急落、原油高、金利高が同時進行するなかで、何が真の逃避先になるのかを市場が探っている状況とも言え、今週の米CPIや一連の中銀会合(11日ECB、16〜17日日銀、18日英中銀)が次の方向性を左右しそうです。
出典: Trading Economics / Investing.com