経済ニュースダイジェスト

2026/06/18(木)12:00 JST  |  号ID: 2026-06-18-1202

木曜昼の号をお届けします。今号最大のニュースは、米イランの和平に関する覚書(MOU)が両首脳の電子署名により正式に取り交わされたことです。トランプ米大統領はベルサイユ宮殿でのマクロン仏大統領との会食中に署名し、イランのペゼシュキアン大統領も電子署名しました。19日(金)スイスでの式典は儀礼的な調印に位置づけられます。これを受け東京市場はリスクオンが強まり、日経平均株価は6営業日続伸して取引時間中に一時1,000円を超す上昇となりました。本号は、(1)電子署名で固まった米イラン覚書、(2)6日続伸で7万円台をうかがう東京株式、(3)介入警戒が続くドル円、(4)FOMC後に下落した米株の確報、(5)80ドルを割れた原油、(6)金利上昇が重しの金、の6本でお伝えします。

米イラン覚書に両首脳が電子署名 — ホルムズ「60日間の無償通航」が柱、19日スイスは儀礼的調印に

米国とイランの戦争終結に向けた覚書(MOU)について、トランプ米大統領とイランのペゼシュキアン大統領がそれぞれ電子的に署名したと報じられました。ホワイトハウスによると、トランプ大統領はベルサイユ宮殿でマクロン仏大統領との会食中に署名したとされます。覚書は両国の軍事行動の「即時かつ恒久的な停止」を表明し、今後60日間(双方の合意で延長可能)で恒久的な最終合意に向けた協議を続ける枠組みです。焦点のホルムズ海峡については、イランが「60日間に限り、商業船の安全な通航を無償で認める」とした上で、その後はオマーンとの協議で海峡の将来的な管理を定めるとされています。19日(金)にはバンス副大統領がスイスへ赴き署名式に臨む見通しですが、これは儀礼的な位置づけと伝えられています。核問題や制裁解除、凍結資産の扱いといった重要論点は引き続き先送りされており、最終合意までの不確実性は残ります。市場では、地政学リスクの後退が原油安とリスク資産買いを後押ししています。

東京株式は6日続伸、一時7万円台 — 米イラン署名で出遅れ株が挽回、上げ幅1,000円超に拡大

18日午前の東京株式市場で、日経平均株価は6営業日続伸となりました。前日比261円高の7万163円で寄り付いて取引時間中の最高値を更新すると、その後は上げ幅を1,000円超に広げ、一時7万900円台まで上昇する場面もありました。前日17日の終値が6万9,902円(5日続伸・3日連続の史上最高値)でしたから、節目の7万円を明確に意識する展開です。米イランが和平合意の覚書に電子署名したと伝わり、中東情勢の沈静化期待からリスクオンの地合いが強まったことが背景です。これまで上昇に乗り遅れていた出遅れ銘柄に買いが向かい、相場全体を押し上げました。原油安によるインフレ・景気減速懸念の後退も追い風です。一方で、18人中9人が年内利上げを見込んだFOMCのタカ派ドットや前日の米株安は重しとなり得る要因で、過熱感を警戒する見方もあります。日銀の利上げを波乱なく通過し、G7や日米中銀イベントを消化した後も、日本株は強い基調を維持しています。

ドル円は160円台半ばで介入警戒 — 米イラン署名でドル売り・円売り拮抗、タカ派FOMCがドルを下支え

為替市場で、ドル円は1ドル=160円台半ばで高止まりしています。18日の東京市場では、米イランの覚書署名を受けたリスクオンでドル売り・円売りが交錯し、ドル円は160円60〜70銭近辺で方向感の乏しい動きとなりました。前日のFOMCで年内利上げ観測が浮上したことを背景に、ドルは主要通貨に対して底堅く推移しています。日銀が約31年ぶりに政策金利を1.0%へ引き上げたにもかかわらず、米国との金利差の大きさが意識され、円キャリートレードを支える構図は崩れていません。160円台は政府・日銀による為替介入を警戒する水準であり、当局者の発言や値動きに神経質な地合いが続いています。リスクオンによる円売りと、和平を受けたドルの上値の重さが綱引きとなる中、円の下値(ドルの上値)はなお試されやすい状況です。当面はドル円が160円台で推移する中、節目を超える円安進行があれば介入観測が一段と強まる可能性があります。

米株はFOMC後に下落(確報) — S&P500は7,420、ナスダック26,021、新議長初日として1994年以来最悪

17日(水)の米株式市場は、FOMCのタカ派的なドットプロットを嫌気して下落し、終値が確定しました。S&P500は前日比1.21%安の7,420.10、ナスダック総合は1.34%安の2万6,021.66、ダウ平均も下落しました。全11セクターが下げ、通信サービスが2.91%安、一般消費財が2.34%安と下落が目立ちました。S&P500にとっては、新議長就任後初の「FOMC当日」の下落率としては1994年以来最悪となりました。18人の委員のうち9人が年内利上げを見込み、うち6人が複数回の利上げを想定したことが、金利上昇に敏感なハイテク・グロース株の重しとなりました。米長期金利の指標である10年債利回りは0.06ポイント上昇して4.49%となり、金利上昇が株式評価の逆風として意識されました。連日で最高値を更新してきた米株にとって、年内利上げの現実味は明確な方向転換を促す材料となり、当面は金利動向をにらんだ神経質な展開が続くとみられます。

原油は80ドル割れで引け — ブレント78.96ドル、3月以来の安値、ホルムズ再開観測で供給増を警戒

原油相場は、約3カ月ぶりの安値圏で取引を終えました。北海ブレント原油は5%安の1バレル78.96ドルと、3月以来初めて80ドルを割り込みました。米国産WTI原油も5.8%安の76.05ドルで引けています。米イランの覚書署名でホルムズ海峡が再開に向かい、合意成立後にはイランの原油輸出が本格的に再開されるとの観測が、供給増への警戒として相場の重しとなっています。覚書ではホルムズ海峡について60日間の無償通航が定められ、タンカー各社は海峡周辺への船舶の再配置を進めているとされます。一方、商船三井の田村潤一郎社長が「実際の状況の変化を見極めたい」と述べるなど、海運各社は通航再開の持続性をなお慎重に見ており、平時の輸送水準への復帰には数週間から数カ月を要するとの指摘もあります。原油安はインフレ圧力の後退を通じて経済全般には恩恵となる半面、エネルギー関連企業や産油国の収益には逆風となります。

金はタカ派FOMCで反落 — 1.77%安の4,254ドル、実質金利の上昇が利息を生まない金に逆風

貴金属相場は、FOMCのタカ派的な結果を受けて下落しました。金(ゴールド)は前日比1.77%安の1トロイオンス4,254.65ドルとなり、最高値圏から反落しました。年内利上げを示唆するドットプロットを受けて米長期金利が4.49%まで上昇し、ドルも底堅く推移したことが、利息を生まない金にとって逆風となりました。実質金利の上昇は金の保有コストを高めるためです。中東和平の進展でリスク選好が強まり、安全資産としての逃避需要が後退しやすくなっていることも、上値を抑える要因です。もっとも、原油安によるインフレ圧力の緩和や、各国中央銀行による継続的な金購入、地政学・財政面の不確実性は、引き続き中長期の下支え要因として残っています。FOMCという最大のイベントを通過したことで、貴金属相場は当面、地政学などの見出しよりも金利・ドルといったファンダメンタルズを軸とした値動きへ移っていくとの見方が広がっています。

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