経済ニュースダイジェスト

2026/06/05(金)12:00 JST  |  号ID: 2026-06-05-1200

こんにちは。本号は、日本時間5日昼までの動きと、今夜に控える今週最大の山場をお伝えします。最大の焦点は日本時間5日夜(米東部時間8時30分)に発表される米5月雇用統計で、市場は政策金利の先行きを見極めようと様子見姿勢を強めています。加えて、米通商代表部(USTR)が中国・日本を含む60の貿易相手国に新たな追加関税を提案したことが、世界の通商環境に新たな不確実性をもたらしました。東京市場はドル円160円台での円安と関税報道をにらみ、前日の急落の後を方向感に乏しく推移しています。本号では、(1)米国の新たな関税案、(2)今夜の米雇用統計、(3)東京市場とドル円、(4)中国・アジアの通商摩擦、(5)来週のECB会合、の5本を取り上げます。

米国が60カ国・地域に新たな追加関税案 — 強制労働を理由に、中国・日本・韓国は12.5%

トランプ政権の米通商代表部(USTR)は、強制労働で作られた製品の輸入を「禁止・取り締まれていない」として、60の貿易相手国・地域に新たな追加関税を課す方針を示しました。報道によると、中国・日本・韓国・ブラジルなど大半の国に12.5%の追加関税率が提案される一方、英国・カナダ・メキシコ・EU・台湾・アルゼンチンなど一定の対応を進めているとされる16カ国・地域には、より低い10%の税率が適用される見込みです。措置は通商法301条に基づく調査を踏まえたもので、正式発動前にパブリックコメント(意見公募)の手続きを経る必要があります。日本が12.5%の対象に含まれたことは、自動車や機械を中心とする対米輸出企業の収益や、為替・株式市場の重しとなり得る材料です。発動までには時間的猶予があるものの、貿易を巡る不確実性が改めて意識される展開となっています。

今夜に米5月雇用統計 — 市場予想は前月比+10.5万人、失業率4.3%。利下げ観測の点検材料に

今週最大の注目イベントが、日本時間5日夜に発表される米5月の雇用統計です。FactSetがまとめた市場予想(中央値)は、非農業部門就業者数が前月比+10.5万人で、予想のレンジは+5万〜+12.5万人と幅があります。エコノミストによっては+8.5万人前後と、より弱めの数字を見込む向きもあります。前月(4月)の+11.5万人から雇用の伸びは鈍化が見込まれる一方、失業率は4.3%で横ばいとの予想です。直近では、5月のADP民間雇用が+12.2万人と予想を上回り、求人件数(JOLTS)も底堅さを示すなど、労働市場の堅調さを示す指標が続いていました。市場は6月16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置きをほぼ確実(CMEのデータで確率99%超)と織り込んでおり、今夜の統計は「金利は高いまま長く続く」というシナリオを点検する材料と位置づけられています。予想を上回る強い結果なら、利下げ観測の一段の後退から、ドル高・米長期金利上昇が進む可能性があります。

東京市場はドル円160円台と関税報道をにらみ様子見 — 前日は67,470円へ急落

東京株式市場は、今夜の米雇用統計と新たな米関税案をにらみ、方向感の乏しい展開となっています。前日4日の日経平均は、米ハイテク株安と中東情勢の緊迫を受けたリスク回避から、終値で前日比931円安(▲1.36%)の67,470円まで急落しました。指数寄与度の大きいソフトバンクグループが約11%安となったことが、下げを主導しました。外国為替市場では、ドル円が前日のニューヨーク時間に一時160円台へ乗せ、東京時間も160円近辺での円安水準が続いています。原油高による日本の貿易赤字拡大懸念に加え、日米の金利差が円の重しとなる構図は変わっていません。市場では、財務省による再びの為替介入への警戒も意識されています。日銀は6月16〜17日の金融政策決定会合で追加利上げ(政策金利0.75%→1.0%)を探るとみられ、日本国債の利回りも10年物が2.5%台へ上昇しています。投資家は、今夜の米雇用統計が日米の金利差観に与える影響を見極めようとしています。

中国・アジア市場は通商摩擦を警戒 — 上海総合は連騰一服、人民元は7元近辺

アジア市場では、米国の新たな関税案を巡る警戒感が広がっています。中国の上海総合指数は、3日には半導体・ハイテク株に支えられ4,083ポイント前後(+0.22%)で取引を終えましたが、4日は米国の追加関税案を嫌気して2営業日続いた上昇が一服しました。中国は今回の12.5%関税案の対象に含まれており、対米輸出の先行き不透明感が改めて意識されています。一方で、中国経済そのものには底堅さも見られます。1〜3月期の実質GDPは前年同期比+5.0%と、前期からやや持ち直しました。5月の財新サービス業を含む総合PMIは54.0と3カ月ぶりの高水準となった半面、製造業PMIは4月の52.2から51.8へ低下し、内需と外需で濃淡が残ります。為替の人民元(オフショア)は1ドル7元をわずかに上回る水準で、底堅い輸出と貿易黒字を背景に、近い将来の上昇余地を指摘する声もあります。

来週11日にECB理事会 — 0.25%利上げをほぼ織り込み、焦点はラガルド総裁の先行き示唆

欧州では、来週11日に欧州中央銀行(ECB)の理事会が控えています。市場は、預金ファシリティ金利を2.00%から2.25%へ引き上げる0.25%の利上げを約97%の確率で織り込んでおり、利上げ自体はほぼ既定路線とみられています。背景にあるのは、エネルギー主導でのインフレ再加速です。ユーロ圏の5月の消費者物価指数(HICP)速報値は前年同月比+3.2%と、4月の+3.0%から上昇し、2023年9月以来の高水準となりました。中東情勢を受けてエネルギー価格が前年比+10.9%と急伸したことが主因で、コア指数も+2.5%へ切り上がっています。市場の関心は、利上げの有無よりも、ラガルド総裁が「今回限りの調整」とするのか、それとも「引き締めサイクルの始まり」を示唆するのか、という先行きガイダンスに移っています。一方でユーロ圏の景気は1〜3月期で前期比+0.1%と力強さを欠き、ECBはインフレと低成長の難しいかじ取りを迫られています。

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