日曜昼の号をお届けします。週末で東京・ニューヨークの両市場とも休場のため、株価・為替などの新規データはありません。ニュースの流れも朝からの大きな進展は乏しく、米・イラン和平合意の署名は本稿時点でなお「予定」の段階にとどまっています。そこで本号は、相場の主役が地政学から金融政策へと移り変わる「週明け」を見据え、(1)日米欧5中銀が相次いで決定を出す『中央銀行ウィーク』の論点、(2)明日15日に開幕するG7エビアン・サミットで前面に出そうな結束より対立の構図、(3)依然「署名待ち」が続く米イラン和平の最新状況、の3本立てで先読みします。
週明けは「中央銀行ウィーク」 — 日銀は16日に1.0%へ31年ぶり利上げ観測、FOMCはウォーシュ新議長の初采配で据え置き濃厚
地政学が小休止する一方、週明けからの相場の主役は金融政策に移ります。今週はFRB(米連邦準備制度理事会)、日銀、豪州準備銀行(RBA)、イングランド銀行(BOE)、スイス国民銀行(SNB)と、主要5中銀が相次いで政策決定を発表する「中銀ラッシュ」となります。最大の注目は16日の日銀会合で、ロイターの調査では34人のエコノミストのうち28人が政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げると予想しています。実現すれば2008年以来約18年ぶりの1.0%、利上げ幅としては約31年ぶりの水準回復となり、長く続いた円安局面の修正が市場の焦点です。一方、16〜17日のFOMCは新議長ケビン・ウォーシュ氏にとって初の会合となります。政策金利は3.50〜3.75%での据え置きがほぼ確実視され、CMEの指標では利上げ確率はわずか0.6%程度です。ただしウォーシュ氏はタカ派とされ、市場では年内に少なくとも1回の利上げが行われる確率が約70%まで上昇しています。同時に公表される経済見通し(SEP、ドットプロット)が、緩和バイアスから中立への転換をどこまで明確にするかが注目されます。
出典: FXStreet / Chase
G7エビアン、明日15日開幕 — 通商の議論の裏で「結束」より「対立」、米のNATO関与縮小通告が影を落とす
15〜17日にフランス・エビアンで開かれるG7首脳会議は、米イラン和平の署名の舞台として期待される一方、トランプ米大統領と欧州・カナダなど同盟国との摩擦が前面に出そうです。報道によれば、米国は欧州のNATO(北大西洋条約機構)に提供してきた航空機や艦艇を大幅に削減する意向を各国に伝えており、欧州の安全保障の前提を揺さぶっています。トランプ氏は、ホルムズ海峡の混乱を巡る対応で「欧州が十分に支援しなかった」と不満を募らせているとされ、議長国フランスは包括的な共同声明を見送り、重要鉱物のサプライチェーンや経済不均衡の是正といった分野別の成果文書を積み上げる慎重な運営を迫られています。論点はイラン・ウクライナ・対中貿易・防衛負担と多岐にわたり、米国が掲げる対中追加関税の「期限」が7月24日に迫るなか、通商を巡る火種も残ります。第1次政権期のように「トランプ氏を御する」のは難しいとの見方も専門家から出ており、サミットの空気は週明けの市場心理にも影響しそうです。
出典: Gulf News / Asharq Al-Awsat
米イラン和平、なお「署名待ち」 — トランプ氏は日曜署名を明言もイランは時期に慎重、原油は約2カ月ぶり安値圏で確報待ち
本号の段階で、米・イラン和平合意の署名はまだ確認されていません。トランプ大統領は「合意は日曜に署名予定で、署名と同時にホルムズ海峡を全船舶に開放する」とSNSで明言し、署名式は週末に欧州のどこかで行うと述べています。仲介役のパキスタンのシャリフ首相も「24時間以内の最終化」に言及しました。もっとも、イラン国営メディアは署名の時期になお慎重な姿勢を示しており、これまでも署名の予定が二転三転してきた経緯があります。市場では、覚書が対イラン石油制裁の解除とホルムズ海峡の30日以内の再開を盛り込むとの観測が伝わる一方、核問題は署名後60日間の別途協議に先送りされる建付けが警戒材料として残ります。原油は、和平期待の高まりを背景に北海ブレントが先週末にかけて1バレル87〜88ドル前後と約2カ月ぶりの安値圏まで下落しました。署名が現実になれば剥落してきた地政学プレミアムが一段と後退する半面、土壇場での白紙化や、交渉に加わっていないイスラエルの動向が蒸し返されれば、巻き戻しのリスクも否めません。週明けの取引開始に向けて、署名の確報を見極める局面です。
出典: CNBC / NBC News
※ 本号は日曜で主要市場が休場のため、株価・為替などの新規データはありません。米・イラン和平合意の署名の有無やG7エビアン・サミットの結果、来週の日米中銀会合などは、進展があり次第、本日夜(22:00号)以降で改めて取り上げます。