週末で主要市場は休場ですが、AnthropicのシリーズH史上最大級調達と Claude Opus 4.8 公開、韓国銀行のタカ派据え置きと「ドットプロット3.0%」シグナル、欧州4月BEV登録の急伸、ホルムズ海峡の商業通航回復遅延、英国5月小売物価の上振れの5本を厳選してお届けします。
Anthropic、シリーズHで650億ドル調達 — 評価額9,650億ドルでOpenAIを抜き世界最大のAIスタートアップに、Claude Opus 4.8 公開とMythos投入予告
AnthropicはシリーズH資金調達で650億ドルを獲得し、ポストマネー評価額9,650億ドル(約148兆円)に達したと28日に発表しました。Altimeter Capital・Dragoneer・Greenoaks・SequoiaがリードでGIC・ICONIQ・Coatue・D1・XNが共同リードに名を連ね、Amazonの50億ドル追加コミットを含むハイパースケーラー枠150億ドルが内包されます。年率換算売上は2025年末の100億ドルから5月時点で470億ドルへ4.7倍に拡大、IPO前の最終民間ラウンドと位置付けられました。同日付で「より誠実」と評される Claude Opus 4.8 を公開し、コーディング・サイバー攻防能力で他社を凌駕するとされるフロンティアモデル Mythos も数週間内に全顧客へ展開すると予告。並行してMicrosoftの自社AIチップ「Maia 200」採用に向けた協議(Microsoft側50億ドル出資込み)も報じられ、OpenAI(評価額5,000億ドル)との序列が逆転しました。一連の動きはAIサプライチェーン全体(Nvidia・AMD・SK Hynix・Samsung・TSMC・SoftBank G)を再評価する材料となり、来週の半導体・AIインフラ株の値動きに直結します。
出典: Bloomberg / CNBC / Fortune
韓国銀行が政策金利2.50%で据え置きも「タカ派ホールド」 — ドットプロットは年末3.00%を示唆、2026年GDPを2.6%へ上方修正
韓国銀行(BOK)は5月28日の金融通貨委員会で政策金利を2.50%に据え置きました。ヘッドラインは予想通りの中立判断ですが、新総裁シン・ヒョンソン氏が示したスタンスは市場予想より大幅にタカ派寄りでした。同時公表のドットプロットでは、7人の理事の6カ月後予想21ドットのうち最頻値10ドットが3.00%を示し、2.50%維持予想はわずか2ドットに留まりました。2026年実質GDP成長率予想を2.0%から2.6%へ0.6ポイント上方修正し、AI半導体ブームによる輸出加速とSamsung・SK Hynixの12層HBM4E需要を主因と説明。Bank of Americaは予想を「BOK年内2回利上げ・年末3.00%」へ転換し、ウォン買いの根拠が強化された格好です。29日のKOSPI終値8,476ポイント(過去最高)に続き、来週は内需株よりも半導体・自動車輸出株の選別買いが鮮明化する見込みです。
出典: InvestingLive / Seoul Economic Daily / Korea Herald
欧州4月新車登録の電気自動車(BEV)が前年比+37.7% — 4月までの累計シェア19.7%へ拡大、トヨタEVセダン中止の対照鮮明
欧州自動車工業会(ACEA)が27日に公表した4月新車登録統計によれば、バッテリーEV(BEV)の新車登録台数は前年同月比+37.7%と全動力源で最大の伸びを記録しました。1〜4月累計の登録台数は74万6,899台、市場シェアは19.7%(前年同期15.3%)へ4.4ポイント拡大。国別ではイタリア+98.8%、フランス+41.8%、ドイツ+41.3%と大陸主要3国がそろって40%超の高成長を示しました。EU市場全体の新車登録も+4.2%と3カ月連続プラス。ハイブリッド車のシェアは38.2%で首位を維持し、ガソリン・ディーゼル合算は30.2%(前年38.1%)まで後退しました。Teslaの4月EU登録は+67%と3カ月連続急伸でシェアを回復した一方、29日報道のトヨタによる「LF-ZC」次世代EVセダン開発中止は、世界市場の二極化(欧州・中国のEV加速 vs 日米のSUVシフト)を象徴するイベントとして来週の自動車セクター評価に影響を与えそうです。
出典: ACEA / electrive
ホルムズ海峡の商業通航が依然「Operation Epic Fury以降の最低水準」 — Brent 92.56ドル(月間▲19%)でも実需フローは未回復
AIS船舶追跡データを集計したUSNI Newsおよび独立トラッカーによれば、5月29日時点のホルムズ海峡の商業通航数は1日当たり累計24隻前後と、米軍によるOperation Epic Fury(5月8日開始)以降の最低水準で停滞しています。米イラン60日停戦MOU合意観測でBrent原油は5月単月▲19%(コロナ禍以来最大の月間下落幅)・29日終値92.56ドルまで下落しましたが、実物市場では湾岸内クルードローディングが「極めて低水準」のままであり、保険プレミアム、機雷除去、港湾封鎖解除の3要素が解決されない限り、平時水準(1日17〜18Mバレル)への完全復帰は早くても2〜3週間先になる見通しです。シンガポール製油所のメンテナンス明けや日本のクオーター末調達と重なるタイミングで、Brent 90ドル割れ前にバックワーデーション(期近高)が再拡大する可能性があり、「リスクプレミアム剥落」を織り込み過ぎている可能性があると指摘するエネルギー系ストラテジストもいます。
出典: USNI News / CNBC Energy
英国5月Shop Price Index +1.2%で予想上振れ — 中東発の海運コスト高が小売物価に波及、BoEの利下げシナリオ後退
英国小売協会(BRC)が公表した5月Shop Price Indexは前年比+1.2%で、4月の+0.9%・市場予想+1.0%を上回りました。食品が+2.8%(4月+2.5%)と加速し、非食品も+0.3%へ7カ月ぶりにプラス転換。BRCは原因として「中東情勢を背景にしたコンテナ運賃と原材料コストの上昇」を明示し、コンテナ運賃指標(FBX China–North Europe)が5月単月+38%と急騰したことが価格に伝播し始めたと分析しました。同時公表のイタリアQ1 GDP第二推計が+0.3%QoQへ確定、EU 4月新車登録+5.1%、ユーロ圏4月HICP速報+2.8%と合わせ、ECB 6月11日会合での25bp利上げ予想(先週時点で確率72%)はさらに織り込みが進む形です。英国のSONIA金利先物では年内利下げ2回観測が1回へ縮小しつつあり、ポンドはユーロに対し直近1週間で+0.6%反発。来週は東京・NY両時間帯ともFTSE 100・FTSE 250の金利敏感株(不動産、ユーティリティ)の戻り売りに警戒が必要です。
出典: British Retail Consortium / Bloomberg