経済ニュースダイジェスト

2026/06/05(金)06:00 JST  |  号ID: 2026-06-05-0600

おはようございます。本号は、日本時間5日朝までに伝わった4日の米国市場の本引けと、同日夜に控える注目イベントを中心にお伝えします。米株はダウが循環物色で最高値を更新する一方、ブロードコムの決算を機にハイテク・半導体が売られ、指数間で明暗が分かれました。中東ではイスラエルとレバノンの停戦合意がヒズボラの拒否で早くも揺らぎ、為替はドル円が再び160円台へ戻しています。市場全体では「金利は高いまま長く続く」との見方が強まりつつあります。本号では、(1)米株の本引けとローテーション、(2)ブロードコム急落と半導体株、(3)中東の停戦合意とほころび、(4)ドル円160円台と本日の米雇用統計、(5)金利観のタカ派化と金相場、の5本を取り上げます。

米株は方向感が分かれる — ダウが875ドル高で最高値更新、S&P500・ナスダックはハイテク安で伸び悩み

4日の米国市場の本引けは、指数間で明暗が分かれました。ダウ工業株30種平均は前日比875ドル高(+1.73%)の51,561.12ドルと、終値ベースの最高値を更新しました。一方でS&P500は+0.41%の7,584.31と小幅高にとどまり、5月末に付けた最高値(約7,610)には届きませんでした。ハイテク比率の高いナスダック総合指数は▲0.09%の26,830.96と小幅に続落しています。中身を見ると物色の循環(ローテーション)が鮮明で、S&P500の11業種中8業種が上昇し、ヘルスケア(+3.14%)・金融(+2.67%)・不動産(+1.87%)が指数を押し上げました。半面、ブロードコムやクラウドストライクの決算を受けた売りでハイテク・半導体が重しとなりました。米利下げ観測の後退を背景に、高PERのハイテクから景気敏感株や割安株へと資金が向かう構図が、足元の相場の特徴となっています。

ブロードコムが終値で約15%安、2025年1月以来の大幅下落 — AI半導体の見通しが「高すぎた期待」に届かず

半導体大手ブロードコムの株価が4日に約15%下落し、2025年1月以来の大幅安となりました。前日発表の第2四半期決算は売上高222.2億ドル(市場予想222.1億ドル)と予想を上回り、1株利益も予想を超え、AI(人工知能)向け半導体の売上高は前年同期比143%増と力強い内容でした。それでも株価が急落したのは、市場の関心がガイダンスに移っていたためです。会社側は第3四半期のAI半導体売上を160億ドルと見込みましたが、市場予想の172億ドルを下回り、通期のAI売上見通しも引き上げませんでした。直近5営業日で連日最高値を更新していた反動も重なりました。この急落はメモリ・AI半導体全体に波及し、マイクロン・テクノロジーが約7%安、AMDが約4%安、インテルが約3%安となりました。「決算が良くてもガイダンスが高い期待に届かなければ売られる」展開は、AI関連株に積み上がった楽観の高さを改めて示しています。

イスラエル・レバノンが米仲介で停戦合意も、ヒズボラが拒否し戦闘継続 — 米イラン交渉の行方に影、原油は反落

中東情勢では、米国の仲介によりイスラエルとレバノンが停戦で合意したと発表されました。合意はヒズボラによる攻撃の完全停止と、レバノン南部からの全戦闘員の撤収を条件としています。しかしヒズボラのカセム指導者はこれを「架空の停戦」「降伏に等しい」として拒否し、4日も双方が攻撃の応酬を続けました。イスラエルのカッツ国防相も南部レバノンでの攻撃継続を表明しています。イランは「レバノンでの停戦なしには対米・対イスラエルの停戦に応じない」との立場で、レバノン情勢の停滞はトランプ政権が進めるイラン核交渉にも影を落とします。トランプ大統領は、交渉を長期化させてでもイランからより大きな譲歩を引き出す構えを見せる一方、週末にも進展の可能性に言及しました。原油市場は3営業日続伸の反動で反落し、北海ブレントは1バレル96.97ドル(▲0.86%)、WTIは95ドル前後に下げています。需給は引き締まったままで、市場は7日のOPECプラス会合を見据えています。

ドル円が再び160円台 — 米利下げ後退観測で円安、本日夜に米5月雇用統計

外国為替市場では、4日のニューヨーク時間にドル円が一時160.088円まで上昇し、再び1ドル160円台に乗せました。東京時間も159円台後半で推移しています。原油高による日本の貿易赤字拡大への懸念に加え、3日に発表された5月のADP民間雇用が市場予想を上回り、米国の利下げが一段と遠のくとの見方が広がったことが、円売り・ドル買いの背景です。市場の最大の関心は、日本時間5日夜(米東部時間8時30分)に発表される米5月の雇用統計です。市場予想は非農業部門就業者数が前月比+10.5万人前後(予想のレンジは+5万〜+12.5万人)、失業率は4.3%で横ばいが見込まれています。平均時給や労働参加率も注目されます。日銀は6月16〜17日の金融政策決定会合で追加利上げ(0.75%→1.0%)を探るとみられ、日米の金利差の方向感が円相場の鍵を握ります。

市場は「より長く高い金利」を織り込む — 6月Fed据え置きは99%超、金は4,450ドルへ後退

エネルギー主導のインフレ圧力を背景に、市場の金融政策観は「利下げ」から「据え置き・引き締めの長期化」へとシフトしています。CMEのデータによると、6月16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が現行の3.50〜3.75%に据え置かれる確率は99%を超えています。欧州では、欧州中央銀行(ECB)が来週11日に0.25%の利上げ(預金金利を2.00%→2.25%)に踏み切るとの見方が大勢で、9月の追加利上げも一部で織り込まれ始めました。こうしたタカ派的な金利観は、金利を生まない資産である金には逆風です。金スポット価格は1オンス4,450ドル前後と、週間では約2%下落しました。中東情勢を受けた安全資産としての需要は根強いものの、長期金利の上昇とドル高が上値を抑える綱引きが続いています。市場は本日の米雇用統計を、こうした「高金利長期化」シナリオを点検する材料と位置づけています。

過去号