こんばんは。本号は、本日の東京・アジア市場と欧州勢の動き、そして米国市場の寄り付きにかけての流れを整理します。東京市場では日経平均株価が史上初めて68,000円台に乗せ、半導体関連を中心に最高値を更新しました。取引終了後には植田和男・日銀総裁が講演し、追加利上げに前向きな姿勢を示しています。米国では、アルファベットが上場以来初となる大型増資を発表し、AI投資の重さがあらためて意識されました。本号では、(1)日経平均の最高値更新、(2)植田総裁講演と円相場、(3)アルファベットの8百億ドル増資、(4)原油の続伸とOPECプラス、(5)ユーロ圏のインフレ再加速、の5本を取り上げます。
日経平均、初の68,000円台 — 半導体株主導で+2.5%、米株高を追い風に最高値更新
3日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続伸し、史上初めて68,000円の大台に乗せました。終値は前日比約1,668円(2.5%)高の68,402円前後で、最高値を切り上げています。前日の米国市場で主要3指数がそろって最高値を更新し、AI・半導体関連への買いが続いたことが追い風となりました。個別ではソフトバンクグループが前日比約1.1%高とハイテク株の上昇を牽引したほか、週初来ではソフトバンクGや村田製作所、SUMCOなど半導体・電子部品関連の上げが目立っています。1ドル159円台後半の円安基調が輸出企業の採算改善期待を支えた面もあり、業績相場と金融相場の両面から買いが入る構図が続いています。
出典: AP(WSLS) / 日経平均プロフィル
植田日銀総裁「適切なペースで利上げ継続」 — 物価上振れリスクに言及、ドル円は159円台後半
日銀の植田和男総裁は3日、東京都内で開かれた共同通信加盟社論説研究会(きさらぎ会)で講演しました。総裁は、中東情勢の沈静化や物価が2%目標へ向かうといった日銀の見通しどおりに経済が推移すれば「適切なペースで政策金利の引き上げを続けていく」と述べ、追加利上げに前向きな姿勢を改めて示しました。さらに、足元のデータや企業からの聞き取りを踏まえると「物価の上振れリスクの方が全体として大きく、より早期に顕在化しやすい」との認識も示しています。為替市場ではドル円が一時1ドル159円66銭前後と小幅に円高方向へ振れ、高市早苗首相が為替の動きに「果断に対応する」用意があると発言したことも意識されました。市場は6月15〜16日の金融政策決定会合での追加利上げを高い確率で織り込んでおり、講演内容はその見方を補強しました。
出典: The Japan Times / Crypto Briefing
アルファベット、上場以来初の大型増資 約800億ドル — AI投資の負担に市場は警戒、株価は約3.5%安
グーグルの持ち株会社アルファベットは、AI向け計算基盤への投資を賄うため約800億ドル規模の株式発行を行うと発表しました。内訳は、バークシャー・ハサウェイを引受先とする100億ドルの第三者割当、300億ドルの公募増資、そして第3四半期に始める400億ドルの市場内売却(ATM)プログラムとされます。同社が大規模な株式を発行するのは2004年の新規株式公開(IPO)以来で、異例の対応です。背景には、2026年の設備投資額が1,800億〜1,900億ドルと前年のほぼ2倍に膨らむ見通しがあります。発表を受け、既存株主の持ち分希薄化や「最も収益力の高い企業ですらAI投資を自己資金で賄えないのか」との懸念が広がり、株価は発表翌日に一時約3.5%下落しました。AIブームの恩恵と投資負担の重さが同時に意識される展開です。
出典: CNBC / TechCrunch
原油は3日続伸、ブレント97ドルに接近 — 米イラン交渉の不透明感、7日のOPECプラス会合を控える
3日の原油市場では北海ブレント先物が1バレル97ドルに迫り、3営業日続伸しました。米WTI先物も95ドルを上回って推移しています。米国とイランの和平交渉に明確な進展がみられず、ホルムズ海峡の通航再開を巡る不透明感が地政学リスクプレミアムを下支えしています。トランプ米大統領は同海峡の再開に向けた覚書(MOU)が「1週間以内にもまとまり得る」との見方を示す一方、論点はなお残るとされます。需給面では、業界団体(API)の集計で米原油在庫が前週比約680万バレル減少したと伝わり、同日発表予定の政府統計で確認されれば6週連続の取り崩しとなります。市場の関心は7日のOPECプラス閣僚会合にも向かい、前回の小幅増産に続く方針が焦点です。なお、UAE(アラブ首長国連邦)が先にOPECを脱退しており、OPECの世界シェアが初めて3割を下回るとの試算も出ています。
出典: CNBC / Trading Economics
ユーロ圏の物価が再加速、5月速報で+3.2% — サービス価格+3.5%、ECBの6月11日利上げ観測強まる
欧州連合統計局(ユーロスタット)が公表した5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年同月比+3.2%となり、4月の+3.0%から伸びが加速しました。なかでもサービス価格が+3.5%へと大きく上昇し、物価上昇が幅広い品目へ波及している点が意識されています。これにより、欧州中央銀行(ECB)が6月11日の理事会で利上げに動くとの観測が一段と強まりました。もっとも、インフレ加速の一因だった原油価格は中東情勢を巡る思惑で乱高下しており、ECBは「物価への明確な対応」と「景気・エネルギー情勢の不確実性」の間で難しい判断を迫られています。利上げを見送れば期待インフレの上振れを招きかねず、6月会合は接戦になるとの見方が広がっています。
出典: Rio Times / Euronews