経済ニュースダイジェスト

2026/06/17(水)12:00 JST  |  号ID: 2026-06-17-1202

水曜昼の号をお届けします。日米欧の中央銀行を巡る思惑が交錯する一日です。前日に3指数そろって最高値をつけた米株は、ウォーシュ新議長を迎えるFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果公表を翌日に控え、ダウのみ最高値・ナスダック反落とまちまちの動きとなりました。東京市場は日銀の約31年ぶり利上げ通過後も株高・円安の地合いが続いています。本号は、(1)米株まちまちとダウ連日最高値、(2)本日深夜のFOMCとウォーシュ初会見、(3)日銀後も最高値をうかがう東京市場、(4)原油の続落、(5)最高値圏の金・銀、(6)本日発効のECB利上げと欧州の中銀格差、の6本でお伝えします。

米株は火曜まちまち — ダウが5万2,000ドル目前で連日最高値、一方ナスダックは1.15%安・FOMC前にハイテク売り

16日(火)の米株式市場は、前日の主要3指数そろっての最高値から一転し、方向感が分かれました。ダウ工業株30種平均は前日比約329ドル高と上昇し、5万2,000ドルにわずかに届かない水準で取引を終え、連日で過去最高値を更新しました。半面、ハイテク比率の高いナスダック総合指数は1.15%安の2万6,376.34、S&P500種株価指数も0.08%安の7,548.60といずれも小幅に反落し、中小型株で構成するラッセル2000も下落しました。日銀の約31年ぶり利上げと、ウォーシュ新議長を迎えた初のFOMCの結果公表を翌日に控え、金利上昇に弱い高PERのハイテク・グロース株を中心に持ち高調整の売りが出やすかった一方、景気敏感・割安株を多く含むダウは買いが優勢となり、物色の濃淡が鮮明になった格好です。歴史的な高値圏での推移が続くなか、FOMC通過までは方向感の出にくい地合いとなりそうです。

FOMC結果は日本時間18日未明 — ウォーシュ新議長の初会見、据え置きほぼ確実でドットプロットの「最後の利下げ」削除が焦点

米連邦公開市場委員会(FOMC)は16〜17日(米東部時間)の日程を進めており、政策金利の発表と四半期ごとの経済見通し(SEP)・ドットプロットは米東部時間17日午後2時、日本時間では18日午前3時ごろに公表されます。ウォーシュ新議長にとって初の記者会見は、その30分後に始まります。政策金利は3.50〜3.75%での据え置きがほぼ確実視され、CMEフェドウォッチが示す利上げ確率は1%未満にとどまります。市場の焦点は金利水準そのものより、3月時点で年内少なくとも1回の利下げを示していたドットプロットが、5月の消費者物価指数(CPI)の前年比4.2%への高止まりやエネルギー高を受けて「年内据え置き(利下げゼロ)」へ書き換えられるかどうかにあります。最後の利下げ見通しが削除されるとの観測が強まっており、その通りなら長期金利に敏感な資産には逆風となります。フォワードガイダンスに懐疑的とされる新議長の発信トーン次第で、ドル・米金利・株式が大きく振れる可能性があり、結果公表までは神経質な展開が続きそうです。

東京市場、日銀利上げ後も最高値をうかがう — 17日朝のドル円は160円台前半、前日の日経平均終値は6万9,404円

東京市場は、16日の日銀の利上げ通過後も株高・円安の地合いが続いています。日経平均株価は16日にザラ場で初めて7万円台(一時7万0,020円)に乗せ、終値は前日比87円高の6万9,404円と4日続伸して連日で過去最高値を更新しました。市場関係者の間では、17日も前日のザラ場高値(7万0,020円)を上回って上値を試す展開が見込まれています。為替は16日に1ドル=160円35銭近辺で引け、17日朝も160円22〜24銭と小動きで、利上げ後もなお政府・日銀の介入を警戒する160円台での推移が続いています。ユーロ円は186円台前半とやや円安方向に振れました。約31年ぶりの利上げにもかかわらず、内外金利差の大きさが意識されて円の上値は重く、半導体・AI関連を中心とする株高と相まって、当面は高値圏での値動きが続きそうです。ただ、FOMCの結果と新議長会見を翌日に控え、海外発の振れには注意が必要です。

原油は火曜も続落 — ブレント80ドル前後・WTIは78ドル割れ、イラン増産観測で3カ月ぶり安値圏

原油相場は16日(火)も下落し、安値圏での推移が続いています。北海ブレント原油は前日比3%超下げて1バレル80〜81ドル近辺、米WTI原油は4%超下げて78ドルを割り込みました。いずれも3月初旬以来の安値圏で、2026年の高値からは2割超下げた水準です。19日(金)にスイスで予定される米イラン署名式で、世界の海上輸送原油の約2割が通るホルムズ海峡の封鎖解除・再開が確定すれば、供給が正常化して増産につながるとの観測が一段と強まり、売りを誘いました。原油安はインフレ圧力の後退を通じて利上げ警戒をやわらげ、株式市場ではハイテク・グロース株の追い風になりやすい一方、エネルギー関連株には重しとなります。もっとも、核問題など合意の核心部分が継続協議に先送りされていることや、イスラエルを巡る緊張再燃の火種も残り、地政学リスクと供給正常化観測の綱引きが続いています。

金は4,350ドル台で最高値圏 — FOMC前でも底堅く、銀は65ドル近辺

貴金属は、FOMCの結果公表を目前に底堅さを保っています。金(ゴールド)は16日に1トロイオンス4,350〜4,356ドル前後で推移し、過去最高値圏での値動きが続きました。中東和平の進展でリスク選好が強まり、利息を生まない金にとっては逃避需要の後退が上値を抑える要因となる一方、原油安によるインフレ・利上げ警戒の後退、合意を受けたドル安基調、各国中央銀行による継続的な金購入といった支援要因が下値を支えています。銀は前週の70ドル台から65ドル近辺へ水準を切り下げ、金に対して相対的に弱含みました。FOMCでは政策金利の据え置きがほぼ確実視されるものの、ドットプロットとウォーシュ新議長の会見トーン次第で実質金利やドルが動き、貴金属も大きく振れる可能性があります。結果公表までは方向感を欠く神経質な値動きが続きやすい地合いです。

欧州の利上げが本日17日発効 — ECBが2023年以来初の0.25%利上げで中銀預金金利2.25%、英BoEは4.25%据え置き

欧州では金融政策の方向感が分かれています。欧州中央銀行(ECB)は11日の理事会で主要政策金利を0.25%引き上げ、中銀預金金利を2.25%としました。利上げは2023年以来初めてで、中東情勢に起因するユーロ圏のインフレ圧力を理由に挙げています。主要リファイナンス金利は2.40%、限界貸出金利は2.65%へそれぞれ引き上げられ、いずれも本日17日から適用されます。一方、イングランド銀行(BoE)は6月の会合で政策金利を4.25%に据え置きました。英国の5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.4%で、なお目標を上回るものの、ECBほど切迫していないと判断した形です。日銀の約31年ぶり利上げ、ECBの利上げに対し、米FRBとBoEは据え置きと、主要中央銀行の政策方向は分かれつつあります。エネルギー高を起点とするインフレ再燃への警戒度の違いが背景にあり、こうした金融政策の格差は今後の為替相場の主要な変動要因となりそうです。

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