経済ニュースダイジェスト

2026/06/19(金)06:00 JST  |  号ID: 2026-06-19-0602

金曜朝の号をお届けします。18日の米国市場では、トランプ米大統領が表明したインテルとアップルのチップ提携を手掛かりに半導体株が急騰し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が6%超高と史上最高値を更新しました。一方で前日のタカ派FOMCの余韻からドルが買われ、ドル指数は約1年ぶりの高値をつけています。なお本日19日は米国がジューンティーンス(奴隷解放記念日)の祝日で休場となるため、これが当面の主要市場での最後の本格取引となりました。本号は、(1)半導体主導で続伸した米株、(2)約1年ぶり高値のドル指数、(3)金利を据え置いた英中銀、(4)本日ジュネーブで署名される米イラン条約、(5)安値圏が続く原油、(6)4,300ドルを割る金、の6本でお伝えします。

米株は半導体主導で続伸 — SOX指数が6%超高で最高値、インテル終値10%高、ただし小型株は逆行安

18日の米国株式市場は、前日のFOMC後の急落から大きく反発しました。S&P500が約1.15%高、ダウ平均が約0.80%高、ナスダック総合が約1.5%高で取引を終えています。相場を主導したのは半導体株で、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は6%超上昇し、史上最高値を更新しました。トランプ米大統領が表明したインテルとアップルの米国内チップ提携を受け、インテル株は終値で約10%高と急騰。エヌビディアがS&P500の値上がり寄与度の首位となるなど、AI・半導体関連が買いを集めました。半面、内需や金利感応度の高い小型株で構成されるラッセル2000は0.7%程度下落し、大型ハイテク株への一極集中と物色の偏りが鮮明となりました。前日17日は、新議長ウォーシュ氏の下での初回FOMCで年内利上げに前向きな委員が増えたことを嫌気し、主要3指数がそろって下落していただけに、わずか1日での明暗が際立つ展開です。なお本日19日は米国がジューンティーンスの祝日で休場となります。

ドル指数が100.72と約1年ぶり高値 — タカ派FOMC受け「10月利上げ」を織り込み、円・ポンドに下押し

為替市場ではドル高が加速しています。主要通貨に対するドルの強さを示すドル指数(DXY)は18日に100.72と、2025年5月以来の高値をつけました。前日にFOMCが政策金利を据え置きつつ年内利上げに前向きな姿勢を示したことを受け、ドルは前営業日に約1%上昇しており、その流れが続いています。市場は10月までの利上げをほぼ完全に織り込んだ状態です。米長期金利は10年債利回りが4.49%前後、2年債が4.05%前後で推移し、相対的に高い米金利がドルの支えとなっています。この日は同時に英中銀(BOE)とスイス国立銀行(SNB)がそろって金利据え置きを決めたこともあり、ドルは英ポンドとスイスフランに対して特に強含みました。ドル円も1ドル=160円台での高止まりが続き、市場では政府・日銀による再介入への警戒が引き続きくすぶっています。ウォーシュ議長は次の一手についての明言を避けつつ、インフレが長く目標を上回ってきたとして物価安定回復への姿勢を改めて強調しました。

英中銀、政策金利3.75%を据え置き — 9人中7対2、CPIは2.8%でなお目標超、スイス中銀も据え置き

イングランド銀行(英中銀、BOE)は18日、政策金利を3.75%に据え置くことを決めました。金融政策委員会(MPC)9人の採決は7対2で、チーフエコノミストのピル氏と外部委員のグリーン氏の2人が0.25%の利上げ(4.0%へ)を主張しました。英国の消費者物価指数(CPI)上昇率は5月時点で2.8%と、2023〜24年の高水準からは大きく低下したものの、なお2%の物価目標を上回っています。中東情勢を受けたエネルギー高が世界各国の物価を押し上げる中、BOEは上振れインフレと力強さを欠く景気のバランスを見極める姿勢です。市場は依然として年内の利上げを予想しています。同日にはスイス国立銀行も金利を据え置きました。年内利上げの可能性を示した米FRBや、6月11日に0.25%の利上げで預金金利を2.25%とした欧州中央銀行(ECB)と比べ、主要中銀の対応にはなお温度差がみられます。

米イラン、本日ジュネーブで正式条約に署名へ — ホルムズ海峡正常化の最終段階

米国とイランは、6月16日に署名した暫定的な覚書(MOU)に続き、日本時間の本日19日にスイス・ジュネーブで正式な条約文書に署名する予定です。署名が完了すれば、戦闘終結とホルムズ海峡の再開に向けた一連の和平プロセスは大きな節目を迎えます。トランプ米大統領はすでに米海軍によるホルムズ海峡の封鎖解除を指示しており、署名後は同海峡での無料・無害通航の再開が見込まれています。ホルムズ海峡は世界の海上輸送原油の約2割が通過する要衝で、その正常化は供給途絶への懸念を和らげる材料です。ただし、署名のみで制裁解除や凍結資産の解放、イラン産原油の輸出量回復が即座に実現するわけではなく、船主・保険会社・乗組員が通航の安全を確信するまでには時間を要するとの指摘もあります。機雷除去や保険・運航体制の回復には数カ月かかるとの見方もあり、当面は部分的な緊張が残る点には留意が必要です。

原油は安値圏が続く — WTIは75ドル近辺、供給正常化観測が重し

原油相場は3カ月ぶりの安値圏での推移が続いています。米国産WTI原油は1バレル75ドル前後、北海ブレント原油は79ドル前後で、いずれも3月初旬以来の低水準です。米イランの和平合意が最終署名へ向かい、ホルムズ海峡の再開とイラン産原油の輸出再開が視野に入ったことで、供給増への警戒が相場の重しとなっています。国際エネルギー機関(IEA)は2027年までに世界の原油供給が日量約800万バレル増える一方、需要の伸びは同200万バレル程度にとどまると見込んでおり、需給緩和の見通しが下押し圧力を強めています。原油安はインフレ圧力の後退を通じて消費者や景気には恩恵となる半面、エネルギー関連企業や産油国の収益には逆風です。もっとも、和平の実効性や海上輸送の本格的な復帰時期にはなお不確実性が残るため、供給途絶リスクが完全に消えたとは言い切れず、価格が一方向に下げ続けるとの見方は限定的です。

金は4,300ドルを割り込んで推移 — ドル高と実質金利の上昇が重し

貴金属相場は上値の重い展開が続いています。金(ゴールド)は1トロイオンス4,250ドル前後と、節目の4,300ドルを割り込んで推移しています。前日のタカ派FOMCを受けた米長期金利の上昇により、利息を生まない金にとっては実質金利の上昇が逆風となっているほか、ドル指数が約1年ぶりの高値をつけたドル高もドル建て金には重しです。加えて、中東和平の進展で安全資産としての逃避需要が後退しやすくなっていることも上値を抑えています。一方で、原油安によるインフレ緩和や各国中央銀行による継続的な金購入、財政面の不確実性は、中長期的には下支え要因として残ります。最大の金融イベントであるFOMCを通過した貴金属相場は、当面、地政学の見出しよりも金利とドルの動向といったファンダメンタルズを軸とした値動きへ移行するとの見方が広がっています。銀は金との比価(ゴールド/シルバー・レシオ)が60倍台で推移しており、金の調整局面では銀の値動きも荒くなりやすい点には注意が必要です。

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