お昼の号をお届けします。アジア時間の焦点は、前日の米株続落と中東警戒を引き継いだ東京株式の軟調な前場と、160円台で介入警戒が高まるドル円です。来週15〜16日の日銀会合では政策金利を1%へ引き上げるとの観測が一段と強まり、本日11日夜(日本時間)にはECBが利上げを決める見込みで、世界の金融政策が同時に動く「中銀ウィーク」が本格化しています。コモディティでは金が約半年ぶり安値に沈む一方、原油はホルムズ封鎖の長期化で需給見通しの上方修正が相次いでいます。本号は(1)東京株前場、(2)日銀・ドル円、(3)ECB理事会、(4)金、(5)原油とホルムズの5本立てです。
東京株は11日前場も軟調 — 米株続落と中東警戒で6万3,900円台、半導体に売り
11日午前の東京株式市場は売り優勢の展開となりました。日経平均株価は前引けで前日比約260円安の6万3,900円前後と、前日(10日)終値の6万4,179円から一段安となっています。前日の米国市場で主要3指数がそろって続落したことや、米・イランの軍事的応酬の激化を背景とした中東警戒が重しとなりました。値がさの半導体・AI関連には引き続き利益確定売りが出やすく、アドバンテストや東京エレクトロンが指数を押し下げる一方、内需・ディフェンシブや金融の一角が下値を支える物色の入れ替わりが続いています。今週に入り日経平均は6万4,000円の節目を挟んで神経質な値動きが続いており、市場の関心は来週の日銀会合や本日のECB理事会といった金融政策イベントに向かいつつあります。信用買い残が高水準にあることから、下押し局面では下げが増幅されやすい地合いも意識されています。
出典: Trading Economics / 日本経済新聞
来週の日銀、政策金利1%への利上げ観測強まる — ドル円160円台で介入警戒続く
外国為替市場では、ドル円が1ドル160円台と約21カ月ぶりの高値圏で推移し、節目近辺でのもみ合いが続いています。「有事のドル買い」と内外金利差が円の上値を抑える一方、政府・日銀による円買い介入への警戒が再燃しており、海外勢の間でも「日本当局がいつ動いてもおかしくない」との見方が広がっています。市場では4月28日〜5月27日に実施されたとされる約730億ドル規模の介入後も水準が元に戻った経緯から、介入の持続性をめぐる思惑が交錯しています。こうしたなか、来週15〜16日の日銀金融政策決定会合では、政策金利を現行の0.75%から1.0%へ引き上げるとの観測が市場で約8〜9割織り込まれています。1%の水準は約30年ぶりとなり、イラン紛争に伴う資源高で物価の高止まりが続くなか、植田総裁の下で追加引き締めに踏み切るかが最大の焦点です。利上げが実現すれば円安・金利上昇の流れに変化が生じる可能性もあり、為替・債券の双方で関心が高まっています。
出典: Trading Economics / 日本経済新聞
本日11日にECB理事会、0.25%利上げで預金金利2.25%へ — ラガルド会見が焦点
欧州中央銀行(ECB)は日本時間11日夜に理事会の結果を公表します。市場は預金金利を0.25%引き上げて2.25%とする利上げをほぼ確実視しており、織り込みは9割超に達しています。イラン紛争に伴う資源高でユーロ圏のインフレが4月に前年比3%へ再加速したことが背景で、インフレ期待の上振れを抑える狙いから利上げに踏み切るとの見方が大勢です。焦点は、ラガルド総裁が記者会見で今後の追加利上げ余地をどこまで残すかにあります。市場では夏場にもう一段の利上げがあるとの観測も浮上しており、9月の追加利上げ確率は約5割と見られています。利上げに動くECB、据え置きが見込まれる米FRB、追加利上げをにらむ日銀という主要中銀の方向性の違いが、当面の為替相場の方向感を一段と複雑にしています。イラン情勢を反映した最新のスタッフ経済見通しの内容も、市場の注目を集めそうです。
出典: Trading Economics(ECB) / FXStreet
金は4,100ドル近辺へ続落、約半年ぶり安値 — 高金利とドル高が逆風
安全資産とされる金が値を下げています。金スポット価格は1トロイオンス4,100ドル近辺と、2025年11月下旬以来約半年ぶりの安値水準に沈みました。中東情勢の緊迫は本来であれば金への逃避需要を高める材料ですが、米10年債利回りが4.5%台で高止まりするなか、利息を生まない金には逆風が強まっています。加えて、リスク回避マネーが金ではなく米ドルへ向かう「有事のドル買い」が、金と円の双方を買われにくくする逆説的な状況が続いています。前日発表の米5月CPIでコア指数が市場予想を小幅下回ったことは金にとってわずかな支援材料でしたが、流れを変えるには至っていません。もっとも、各国中央銀行による継続的な金購入や、米FRBの独立性をめぐる懸念は中長期的な下支え要因とされ、年初につけた1トロイオンス5,500ドル超の最高値圏からの調整が一巡すれば、再び上値を試す余地もあるとの見方も残っています。
出典: Trading Economics / LiteFinance
原油はホルムズ封鎖長期化で需給見通し上方修正 — EIAはブレント105ドル予想、タンカー滞留続く
原油相場はホルムズ海峡をめぐる供給不安を背景に、高値圏での神経質な値動きが続いています。北海ブレント原油は1バレル92ドル前後で推移し、米・イランのタンカー攻撃を含む応酬の激化が供給途絶への警戒を高める一方、和平期待や世界最大の輸入国・中国の在庫取り崩しが上値を抑える綱引きとなっています。米エネルギー情報局(EIA)は、ホルムズ海峡の事実上の閉鎖が当面続くとの前提のもと、在庫減少を映してブレントの6〜7月平均を1バレル105ドルと、従来から引き上げる見通しを示しました。実際の物流面でも混乱は深刻で、報道によればペルシャ湾内に600隻超、湾外に240隻ほどのタンカーが足止めされているとされます。米中央軍(CENTCOM)は「海峡は開いており商船の通航は続いている」とし、過去約1カ月で1億バレルを超える原油の通過を支援したと説明していますが、イラン革命防衛隊は通航を試みたタンカーを攻撃したと主張しており、現場の認識の食い違いが続いています。
出典: U.S. EIA(STEO) / 2026 Strait of Hormuz crisis(Wikipedia)