おはようございます。週末は米欧市場が休場で、新規の重要トピックは限られます。そのなかで、(1)7日にウィーンで開かれたOPECプラスの第41回閣僚会合の結果、(2)同じ7日にイスラエルがベイルートを空爆しイランがミサイルで応酬した中東情勢の急展開、(3)週明けの市場の最大の焦点となる米CPI・PPIとドル円160円台、の3本に絞ってお伝えします。先週末にかけての半導体株急落(フィラデルフィア半導体指数が2020年3月以来の大幅安)とドル円の約21カ月ぶり160円台乗せを引き続き背景にお読みください。
OPECプラス第41回閣僚会合 — 「日量18.8万バレル増」の路線を再確認、ただし停止・修正の柔軟性を保持
産油国の協調を巡る動きです。OPECと非OPECの主要産油国は日本時間7日、ウィーンで第41回閣僚会合を開きました。アラブ首長国連邦(UAE)が脱退して以降で初めての閣僚会合という節目で、5月の会合で決めていた日量18.8万バレルの増産路線(自主減産の段階的解消の第3弾)を改めて確認しました。増産分はサウジアラビア約6.2万バレル、ロシア約6.3万バレル、イラク約2.6万バレル、クウェート約1.6万バレルなどに配分されます。ただし会合の声明は「増産・停止・修正を行う完全な柔軟性を維持する」とし、市場次第で計画を止める余地を残しました。実態面では、ホルムズ海峡の不安定化でサウジの実産油量が3月に一時日量約725万バレルへ落ち込み、割り当て(6月で約1,029万バレル)を大幅に下回っています。サウジの財政均衡油価は1バレル108〜111ドルとされ、足元の北海ブレント原油94〜95ドルとの差は財政を圧迫しており、「増産は計画上の数字であって実際の供給増ではない」との見方も出ています。
出典: OPEC / The National / OilPrice
イスラエルがベイルートを空爆、イランがミサイルで応酬 — 米仲介の停戦が再び揺らぐ
中東情勢は7日に大きく動きました。イスラエル軍は同日、米国が仲介した停戦の発効からわずか数日後に、米国の自制要請を押し切る形でレバノンの首都ベイルート南郊(ダヒエ地区)を予告なく空爆しました。ヒズボラの指揮拠点を狙ったとされ、レバノン国営通信によると2人が死亡、11人が負傷しました。イスラエルのネタニヤフ首相府は、ヒズボラがイスラエル北部にロケット弾を撃ち込んだことへの報復だと説明しています。これに対しイラン側は同日、イスラエルへ複数回のミサイル攻撃を実施。イスラエル軍はミサイル発射を探知して防空システムで迎撃したと発表しました。イランは「ベイルートへの攻撃は中東全域での全面戦争を再燃させる」と警告しており、再開されたばかりの停戦が崩れかねない状況です。米軍はホルムズ海峡で新たにイランの無人機2機を撃墜し、パキスタンの内相がテヘランを訪れて米イラン交渉の再開を仲介していると伝えられます。直接の市場インパクトは限定的とみられますが、原油の下値を支える地政学リスクとして、また週明けのリスク回避要因として意識されます。
出典: Axios / NBC News / The Times of Israel
週明けの最大の焦点は米CPI・PPI — 10日CPI・11日PPI、ドル円160円台の行方を左右
今週(6月8〜12日)の市場は、半導体株急落の後遺症を引きずりつつ、米物価指標を見極める展開になりそうです。最大の注目材料は10日(水)の米5月消費者物価指数(CPI)と11日(木)の米5月卸売物価指数(PPI)です。先週は強い5月雇用統計(非農業部門就業者数が予想を大きく上回る前月比+17.2万人、失業率4.3%)を受けて米長期金利が上昇し、10年債利回りは4.5%超、30年債は5%を上回りました。今週の物価指標でインフレの高止まりが確認されれば、年内利上げ観測が一段と強まり、ドル円は約21カ月ぶりに乗せた160円台での定着を試すとみられます。逆に予想を下回れば、米金利低下とドル売りから159円台前半〜158円台への調整も想定されます。為替市場では政府・日銀の介入警戒が上値を抑える一方、来週にECB理事会(11日に0.25%利上げ観測)、日銀会合(16日)、英中銀(18日)が控えます。日経平均は先週末に6万6,588円で取引を終え、市場では今週の予想レンジを6万4,000〜6万9,000円とする見方が出ています。半導体一極集中の反動で、他セクターへの資金移動も意識されます。
出典: 外為どっとコム / ダイヤモンドZAi / Yahoo Finance